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  • 2022.10.14 Friday
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lounge 「見なおし」について考える


見なおしをしろ、は絶対の真理か?


「解き終わったらよく見なおしをしなさい。」

この言葉は、勉強界のいわば金科玉条(きんかぎょくじょう)、教師も講師も親も、みなが子どもに対して口にする言葉です。

でも、絶対の真理といえるかどうか、よくよく考えてみるといくつか疑問が出てきます。


「見なおしをしなさい」のアドバイスはどんなときに生きてくるのか?

まず、余裕をもって試験時間内に問題を解き終えることができた場合、大事な試験であればあるほど言われなくても誰でも見なおしをするはずです。
早くできたからといって、何もしないで漫然と試験の終了時刻が来るのを待つ人などいないでしょう。

逆に、問題数が自分の予想より多過ぎたり難しい問題を解くのに時間がかかったりして、試験時間内に全部の問題を終えることができなかったとき、あるいは、終えることはできてもそこで時間切れになったとき、見なおしをしたくてもする時間がないのでできません。

時間があれば言われなくてもするだろうし、時間がないと言われたってできない。
そう考えると、「見なおしをしなさい」のアドバイスが生きてくる局面など、ほとんど考えられないということになります。


あとの見なおしは、あてになるのか

人間は間違いをおかすものだ。
これは真理です。
だから、見なおしをして、おかしたかもしれないミスを見つけて修正しなければならない。
これも正しい。

しかし、ついつい弱い人間は、そこから飛躍して、「あとで見なおしをしたらいい」という安易な思考法に行き着いてしまいます。
この考え方でいる人は、いつまでたってもミスが減りません。

逆に、見なおしは無理だと覚悟を決めて、初めから極力間違いをおかさないように常に真剣に問題に取り組む人は、だんだんミスをしない方法を自分で見つけて習得していきます。

「見なおし」に頼る姿勢はかえって仇(あだ)になるのです。

それに、例えばある問題を読み間違えて意味を取り違えるというミスをおかした人が、あとで見なおしをしたとして、問題の意味を取り違えるという欠点を持ったままの同じ人なのに、自分のミスを簡単に見つけるなんてことができるでしょうか。


見なおしを時間設定に織り込んでいると焦ってしまう

試験時間が60分のテストがあるとします。
絶対に見なおしの時間が必要だ、そして見なおしに10分はかけたいと思っている人は、50分でそのテストを解き終えないといけません。

しかし、現実はたいてい自分の甘い予想を裏切ります。
途中でひっかかったりやりなおしを余儀なくされたりして、50分では解けないことがわかってきます。
すると、焦りにかわります。
50分だと本当はまだあと10分余裕があるのに、自分の決めたことに縛られて焦って解こうとしてますますドツボにはまっていきます。

見なおしができるとしたら、それは努力が実ったときの神様のご褒美だくらいに思っていたほうが、よい結果をもたらしそうです。


見なおしをあてにしているとカンが鈍る

普段から、「もうあとはない」と背水の陣で問題を解く癖をつけておくと、問題を解き終わった段階で自分の答えが合っているかどうか、ほぼわかるようになってきます。
緊張感がカンを研ぎ澄まさせるのです。

あとで見なおししたらいいやという緩んだ精神状態で勉強をしていると、このカンがいつまでたっても身につきません。


結論

以上述べたように、私は、見なおし万能主義には反対です。

ただし、先に述べたように、人間は過ちをおかす生き物です。
では、どうしたらよいか。

全部の問題を解き終わったあとの見なおしにはあまり期待できませんが、一つの問題を解き終わったときの軽い見なおしは非常に有効です。

頭がまだその問題の余韻を残している間に、見落としや勘違いがないかをさっと時間をかけないで見なおし、確認をしておきます。

1、普段の勉強やテストでは、その問題を解くことができる機会はもう2度とないという緊張感を持って解くこと。

2、1問終えてまだその問題の余韻が頭に残っているうちに、時間をかけないでさっと見なおしを済ませること。


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social studies 西暦と元号の変換(1867年・1911年・1925年・1988年の暗記法)


『社会科の言葉 西暦・元号』で書いたように、それぞれの元年−1にあたる西暦を覚えると、一番簡単に西暦→元号、元号→西暦を変換・換算できます。

明治元年−1=1867年、大正元年−1=1911年、昭和元年−1=1925年、平成元年−1=1988年を暗記できたら、いちいち手帳のうしろなんかにある換算表を見なくても、即座に変換できます(例:第一次石油ショックは、1973年で、1973−1925で昭和48年、昭和48年は48+25=73で1973年)。

問題は、この1867年・1911年・1925年・1988年の覚え方です。

下2けたを覚えたらよいのですが、こういう不規則な数字は、語呂合せで覚えるしかありません。
ところが、なかなかいいアイディアが浮かんでこない。

最初思いついたのが、(む)(な)しいなあ、(い)(い)、(ふた)(ご)の、(は)(は)だから。
これは、いい双子の母なのに、むなしいというのがおかしい。

(む)ねで(7)け、(いち)(いち)、(ふた)(ご)の、(は)(は)だから。
「胸で泣く」では、さらに意味がわからない。

語呂合わせは、その「絵」が浮かんでこないと、語呂合わせ自体を忘れてしまいます。意味が混乱していては「絵」が浮かんできません。

子どもたちに、「何かいいアイディアない?」と尋ねても、「何言うてんねん?この人??」という顔をされるだけでした。

ところが今日、ぼやっともの思いをしていたら、ふと浮かびました。

(む)(な)しいな、(い)(い)、(ふた)(ご)の(は)(は)なのに。

『空しいな、いい双子の母なのに』、これで何とか意味は通ります。

この語呂合せで覚えることにしました。


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essay 天才と秀才と普通の人


音楽評論家の本間ひろむさんの書かれた『精神疾患は天才への入り口か!?』(新潮45.2010.7月号)に、興味深い記述がありました。

「モーツァルトは天才です。彼の直筆楽譜には書き込みがほとんどない。彼が作曲するとき、曲の完成品が頭の中に鳴っているんですね。だから、それを採譜するだけでいい。」
「モーツァルトの音楽は構成、リズム造形、オーケストレーション、バランス、どれをとっても完璧です。」
「だから、モーツァルトの音楽を聴かせると乳牛がよく乳を出す、という話もあながちデタラメではない」

また、普通の音楽家は、「何度も何度も譜面を見て、弾いて、目と耳と指で地道に覚えていくのです。」
ところが、指揮者の故・岩城宏之氏は、一度譜面を見るとそれが一瞬で頭の中にそのままコピーされるから、「演奏中は楽譜を見ずに、頭の中にある譜面をめくってタクトを振る」。
「ヴァイオリニストの千住真理子もフォトコピーする演奏家です。」「観客の中に譜面を映し出し、それを見ながら演奏するので観客が動いたりすると困るそうです。」
カラヤンも同じであり、将棋の羽生善治名人も、「パソコンで過去の名勝負の棋譜を頭の中にフォトコピーするそうです。」「これは、歴代名人の戦略を局面に応じて使い分けることができる、ということです。」

つまり、本間さんは、天才の属性として、(1)天才は「究極の理想」、「完全な美」が生まれつき頭の中に入っている、(2)天才は見たら一瞬で対象をそのまま頭にコピーできる、の2つの要素を持つと述べているわけです。


天才は「究極の理想」、「完全な美」が生まれつき頭の中に入っている

私も、どうやら世の中には確かに天才がいるようだ、とは感じていました。

(1)の、「天才は『究極の理想』、『完全な美』が生まれつき頭の中に入っている」ことについては、以前ここに書き残しています。

最近の例では、iPhoneやiPadを世に出したアップル社のスティーブ・ジョブズ氏が、この種の天才ではないのかと私は疑っています。
あの発想は、こつこつ努力して出てくるようなものではない。


天才は見たら一瞬で対象をそのまま頭にコピーできる

このことも、過去に3度ほど、他の人が書いているのを読んだ覚えがあります。

一つは作家、今東光が友人の画家、東郷青児について書いた文です。
「東郷青児は何年も前に見た景色や人物について、ああだった、こうだったととうとうと語るんだ、そしてそれを目の前でそのまま描くんだよ、それを見て俺は画家になる夢をあきらめた、そんな奴に勝てるわけがない。」

もう一つは小説家の富島健夫の文章だったと思います。
「高校時代、同級生にすごい奴がいた。本を開いて、2、3秒でぱっと閉じて、その本に書いてあったことを一言一句たがえずにそのまま言えるんだ。それを見たら、勉強する気なんかすっかり失せて、俺はぐれちまった。」

最後の一つは、私の若い友人の言葉。
「東大出だってことで世間の人は僕のことを賢いと思っていますが、僕なんか全然だめです。東大にはすごいのがいるんですよ。大部の論文集にさっと目を通すと、その内容をそのまますらすら語っちゃうんです。そんな奴を見たら、もう何もする気がなくなっちゃいますよ。」

幸いなことに、私はまだそういう人に遭遇していないので伝聞で知っているだけですが、今回読んだ本間さんの文も、そういう人が本当に存在するんだということを語っているわけです。

酒鬼薔薇事件の加害者の少年も同類だと言われています。
彼の場合は、才能が不幸な出現の仕方をした例でしょう。


新しい扉をこじ開けるのは天才である

こういう人の存在する確率は、おそらく1万分の1以下、ひょっとすると10万分の1か100万分の1かもしれません。

そして、そんな才能を持った人がそれだけで幸せだとは決して言えません。東郷青児なんかはその才能を生かして成功した例ですが、上で述べたような「天才」は、いわばミュータント(突然変異体)であって、普通の人で構成されている社会では不幸な一生を送る人のほうが圧倒的に多いのではないかと想像できます。

しかし、天才だけが人類の新しい扉をこじ開けることができる。

スティーブ・ジョブズがよい例です。
彼のこじ開けた扉によって、人類が何百年も慣れ親しんだ紙の本がなくなってしまうかもしれない。
他の凡人は、彼の開いた扉のあとをぞろぞろついていくしかないのです。

でも、それでいいとも言える。

人類の歴史は「普通の人」の集合体の歴史であり、この社会は「普通の人」で構成された社会です。
天才の役目は扉をこじ開けることだけで終わってしまって、社会の進歩、歴史の発展の担い手は「普通の人」であり、「普通の人」にしかそれはできないからです。


この話が塾に何の関係があるの?

こちらで、私は悩んでいると書きましたが、本当は私自身の中で結論は出ているのです。

どちらも、塾の教え方としては正解です。

天才であれば、対角線の長さが20cmの正方形を見ただけで、ひし形という言葉もなしに、対角線×対角線÷2も意識しないで、その面積がぱっと頭にうかびます。

私たち普通の人間は、補助線を書き込んでそれを手がかりにしたり、公式を覚えてそれを使ったりしないと絶対に正解にはたどりつけません。

塾で教えられるのはそこまでです。

私たち普通の人間ができることは、天才が生まれつき知っていることを、苦労して、経験を重ねて、やっと理解するしかないのです。


凡人であることは、悲しいことではあるけれども、幸せでもある。

ガロアのように、現代の数学、物理学の基礎理論を17歳で発見しながら、普通の人である数学者や教師や大学教授にいじめられ続けて21歳でむなしく死んだ天才の不幸を味わわずに、勉強次第では天才の到達した理論の山すその端っこくらいには行き着けるのですから。


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math 算数のコツ(18) 円の中の正方形


次の問題は、多くの中学入試対策テキストに掲載されている基本問題です。

例題:図は、半径10cmの円と、その円周上に4つの頂点がある正方形である。斜線部の面積を求めなさい。
1

問題自体はたいして難しい問題ではありません。ちょっと勉強をしたら、ほとんどの子が解けるようになります。

しかし、教えるほうからすると、どういう解き方をするのがその子の将来のためになるのか、指導の仕方をいろいろ考えさせられる問題です。


まず、子どもたちに自分流に解かせてみます。

円の面積から正方形の面積をひけば斜線部の面積を求められることは、ほとんどの子がすぐに思いつきます。

円の面積は10×10×3.14で簡単に求められますから、次に、どうやって正方形の面積を求めたらよいかということになります。

まだ、勉強が足らない子、勉強はしていても算数のコツをつかみきれていない子はここで手がとまります。


第一関門

2半径10cmしかわからないので、その10cmを利用して正方形の面積を求めようと思えば、左図のように線を自分で引いて半径10cmを正方形のどこかに持ってこないといけません。

この段階が実は一番大事なポイントで、道にポロンと置いてある「用具」を自分が使える「道具」として拾い上げる行為にあたります。

「問題を解く」とは、自分が使える道具を見つけて、それを利用して問題を解決していく過程です。
道具を見つけないと、どんなに悩んでもその問題は解けません。

10cmの半径を正方形の対角線上にひきなおすことができた人だけがこの問題を解くことができます。

分岐点

私が指導の仕方を悩むのはその次の段階です。

(1)自力で解く子の解き方

3半径10cmを正方形の対角線に移すことができた人は、たいがい左の図の部分がすべて10cmであることに気づきます。

1辺が10cmの直角二等辺三角形が4つあると考えて(10×10÷2)×4で200平方cmと解くか、底辺20cmで高さが10cmの三角形が2つあると考えて(20×10÷2)×2で200平方cmと求めるか、いずれにしても、314−200=114の式にたどりつけるので、正解を求めることができます。


(2)ついつい私が教えてしまうこと

ところが4上の(1)の解き方は、この問題ではたまたま上手くいきましたが、どんな問題でも通用するだろうかという疑問がちょっとだけ残ります。

そこで、よく似た問題だとどんなときでも通用するように、「正方形はひし形の一つでしょう?」、「だったら、ひし形の面積の公式である対角線×対角線÷2で解けるんじゃないの?」と、ついつい私は口を出してしまいます。

10×10×3.14−20×20÷2=114と、かっこよく解かせたくなってしまうのです。


私の悩み

私の中に葛藤があるのです。

「こうやって解くんだよ」と人に教えてもらって解けたって、おもしろくもなんともないにちがいない。
自分で苦労して見つけたことを使って解けたら、そのときの喜びは大きいだろう。
その意味では、(1)の解き方のほうが子どものためになるような気がする。

ところが、(1)の解き方は汎用性を持たないだろう。
よく似た問題が出たらいつでも解けるように、「正方形はひし形でもある」と公式化して(2)の解き方を覚えさせたい。

どちらがよいのか、ずっと悩み続けています。


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social studies 社会科の言葉 西暦・元号(年号)


年号・元号・西暦

歴史上の年の数え方に2種類あります。

1つは、ある基準の年を紀元とし、それから何年かを表す方法です。西暦イスラム暦(ヒジュラ暦)がこの仲間に入ります。


他の1つは、中国や日本の数え方で、皇帝や天皇の治世で区切り、その何年目という表し方です。日本の元号がこのグループに入ります。

年号という語の使われ方は人によって違いがあります。(1)「年の数え方」という意味で使い、年号の中に西暦元号をふくめて年号という場合と、(2)西暦に対して、わが国独自の元号のことを年号という場合とがあります。

ここでは、西暦に対する元号年号と呼ぶことにします。


西暦


キリストが生まれたとされる年を紀元(元年)とする年代の数え方です。

(聖書の記述の検討から、キリストの生誕年は紀元前4年だったという説が今は有力です。)

ラテン語のAnno Domini(「主イエスの出現より」の意味だそうです)の頭文字をとってADとも表記します。

(紀元後をAD、紀元前をBCと表記しますが、BCは英語のBefore Christ(キリスト以前)の略です。)

キリスト教圏から広まり、ヨーロッパ諸国の世界進出によって現在では世界で最も使われている年代表記法です。


元号(年号)

紀元前115年にの武帝が「建元」という元号を用いたのが元号の始まりです。
その後、中国の影響下にある国々も元号を用いるようになりました。

日本最初の元号は、645年の大化の改新のときに使われた「大化」です。

明治に改元されたとき、一世一元の制(1人の天皇の在位中は1つの元号しか使わない)が採用されました(それまでは、天皇の交代がなくても自由に改元が可能でした)。

明治5年、明治政府は太陽暦を採用し(それまでの暦は月の動きを基準にした大陰暦でした)、それにともなって年の数え方として西暦も取り入れました。
この頃からしばらくは、わが国では、元号と西暦以外に、干支(かんし・えと・・・十干と十二支を組み合わせた60年周期の年の数え方)や皇紀(こうき・・・最初の天皇とされる神武天皇の即位を紀元とする数え方)も併行して使われていました。

壬申の乱の壬申(じんしん)や戊辰戦争の戊辰(ぼしん)は干支による数え方です。
また、1940年(昭和15年)は皇紀2600年にあたり、国中で記念行事が行われました。

現在では西暦と元号以外をもちいる機会はほとんどありません。

太平洋戦争後、皇室典範の改正で元号の使用を根拠づける法律は存在しなくなったのですが、慣習として昭和という元号が用い続けられました。
1979年の元号法の成立で、元号の使用に法的根拠が生まれ、皇位の継承があった場合に限り元号を改めることが法制化されました。

現在、私たちは、西暦を使うのも元号で表すのも自由です。どちらを使ってもよいし、両方を使ってもかまいません。
元号法も、元号の使用を強制する法律ではありません。

慣例として、国や地方自治体の公的文書は元号をもちいるのが普通です。

少しずつ西暦を使用する場合も増えていますが、国民の感覚としては「どちらでもよい」、「横書きの文書は西暦で、縦書きの文書は元号で」などが一般的ではないでしょうか。
また、歴史を学ぶときは西暦のほうが便利ですし、逆に日常生活では昭和や平成などの元号を使うことのほうが多いように思います。

世界で元号を用いている国は現在では日本だけだそうです。


西暦と元号の対応

本を読んだり、文書を書いたりするときに、しばしば西暦と元号を変換、換算する必要が生じます(特に明治以降)。

明治(明治元年=1868年〜明治45年=1912年)

大正(大正元年=1912年〜大正15年=1926年)

昭和(昭和元年=1926年〜昭和64年=1989年)

平成(平成元年=1989年〜)

それぞれの元年−1にあたる西暦を覚えると、一番簡単に換算できます。

明治元年−1=1867年、
大正元年−1=1911年、
昭和元年−1=1925年、
平成元年−1=1988年です。

上の数字に、元号の年数をたしたら西暦です。
西暦から、上の数字をひいたら元号です。

今年、平成22年は1988+22=西暦2010年、2010年は2010−1988=平成22年です。

大日本帝国憲法ができた1889年は、1889−1867=明治22年。
米騒動の1918年は、1918−1911=大正7年。
満州事変1931年は、1931−1925=昭和6年。

お父さんが昭和48年生まれだとすると、西暦になおすと1925+48=1973年生まれ。


最後に、西暦との変換には直接関係しませんが、明治、大正、昭和が何年までかは覚えておいたほうがよいでしょう。
明治は45年まで、大正は15年まで、昭和は64年までです。


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social studies 入試社会で出題される法律


中学入試でも高校入試でも、法律名を問う問題がよく出題されます。
今日は入試によく出る法律を、公民の分野別にまとめてみました。


1、社会生活に関する法律

民法(明治29年)…個人の財産、契約、家族に関する基本法です。社会科公民分野で学習する、親族の範囲、相続について定めています。財産や契約に関しては、私有財産の尊重、契約自由の原則、過失責任の原則に則っています。
親族・相続に関しては、太平洋戦争後の1947年、新しい憲法のもとで、個人の尊重と男女平等の基本方針に基づき、全面的に改正されました。

男女共同参画社会基本法(平成11年)…男女平等社会の建設を目標につくられた法律です。男女共同参画社会(男女が互いに人権を尊重しつつ、能力を十分に発揮できる社会)の実現をめざし、家庭生活だけでなく、議会の構成、その他の活動でも男女が平等であるように、政府や地方自治体が活動することを求める法律です。


2、憲法と人権に関する法律

大日本帝国憲法(明治22年)…明治天皇によって制定された欽定(きんてい)憲法です。天皇主権と統帥(とうすい)権の独立などが特色です。1947年の日本国憲法の施行によって効力を失いました。
臣民の権利を法律で制限することができました。

日本国憲法(昭和21年)…日本の現行憲法です。国民主権・基本的人権の尊重・平和主義を基本原則とし、象徴天皇制・議院内閣制・違憲立法審査権・地方自治の保障などを規定しています。
国民の基本的人権は、「公共の福祉」に反しない限り、法律によっても制限されません。

周辺事態法(平成11年)…正式には「周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律」。わが国の周辺に紛争が発生するおそれがあるときの、自衛隊の活動やアメリカ軍との協力を定めた法律。

国民保護法(平成16年)…正式名称は「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」。外国から武力攻撃を受けた際の、国民の生命・財産を保護することを目的とする法律。

国民投票法(平成19年)…日本国憲法第96条に規定された憲法の改正に必要な国民投票の手続きを定める法律。

教育基本法(昭和22年)…日本国憲法の精神に基づいた、新しい教育の目的と基本方針を示した法律。教育の機会均等、義務教育、男女共学などについて規定しています。

職業安定法(昭和22年)…働きたい人に職業につく機会を与えて、産業に必要な労働力を供給し、職業の安定と経済の興隆を図ることを目的とする法律です。

労働組合法(昭和20年)…労働者が使用者と対等の立場に立つことを促進し、労働者の地位の向上をはかることを目的とした法律です。労働組合の資格や、使用者がしてはいけない不当労働行為、お互いの取り決めである労働協約などについて規定しています。

労働基準法(昭和22年)…日本国憲法27条2項の「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」にもとづいて定められた法律です。
1985年に批准された女子差別撤廃条約に伴って改正され、女子の保護規定が削除され、さらに1987年の改正で、週40時間労働制、フレックスタイム制などが導入されました。

労働関係調整法(昭和21年)…使用者と労働者の関係の公正な調整と、労働争議を予防し、解決することを目的として制定された法律です。労働争議の自主的な解決や労働委員会による調整、また争議行為の禁止・制限される場合を規定しています。

環境基本法(平成5年)…公害対策基本法にかわる法律として、環境を守るための基本理念や国・地方自治体の施策、事業者と国民の責務について定めています。この法律の施行によって公害対策基本法は廃止されました。

環境アセスメント法(平成9年)…大規模公共事業などをする事業者が、環境への影響を予測評価し、それにもとづいて事業を行わなければならないことを定めた法律です。環境影響評価法ともいいます。

情報公開法(平成11年)…国の行政文書の開示義務を定めた法律です。国の行政機関が保有する情報は、一部の例外を除き、開示請求者にすべて公開することが定められました。


3、政治のしくみに関する法律

公職選挙法(昭和25年)…選挙の基本原則や手続き、選挙運動のルールなどを規定しています。選挙権、被選挙権、選挙区、選挙運動、選挙管理などが細かく規定され、国内の選挙はこの法律にそって行われます。

地方自治法(昭和22年)…地方自治の基本法です。地方公共団体の区分・組織・運営などを定め、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的としています。
平成11年、地方分権をめざした改正が行われました。機関委任事務が廃止され、国と地方の関係は対等・協力関係へと変わりました。

地方分権一括法(平成11年)…地方分権を基本理念に、地方の自主裁量を高めることを目的に制定されました。機関委任事務を廃止し、法定受託事務と自治事務という制度をあたらしく設けました。


4、経済生活に関する法律

消費者基本法(昭和43年)…消費者と事業者では情報の格差が大きいことを考慮して、消費者の権利を保護する目的でつくられた法律です。消費者の権利や事業者、行政機関の責任について規定しています。

製造物責任法(PL法)(平成6年)…製品の欠陥によって消費者が生命、身体、または財産に損害を被ったとき、製品の欠陥を消費者が証明すれば、製造者が損害を賠償する責任があることを定めた法律です。

消費者契約法(平成12年)…消費者が不利な契約を結ばされた場合に、消費者を保護することを目的としてつくられた法律です。消費者と事業者の契約を消費者契約といい、消費者に誤認があった場合、消費者は契約を取消すことができます。

独占禁止法(昭和22年)…公正で自由な競争による国民経済の建設をめざして制定されました。企業の私的独占(トラスト・コンツェルン)や不当な取引制限(カルテル)、不公正な取引方法(不当ボイコット・ダンピング)の3つを禁止しています。監督機関として公正取引委員会があります。

男女雇用機会均等法(昭和60年)…雇用における男女の均等な機会および待遇の確保を目的とする法律です。募集・採用・配置・昇進や定年・退職・解雇についての男女の差別的取り扱いを禁止しています。

育児介護休業法(平成3年)…正式名称は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」です。育児や介護を行う労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるように支援することを目的とします。

生活保護法(昭和25年)…憲法25条生存権の理念に基づき、国が生活に困窮する国民に対し必要な保護を行い、最低限度の生活を保障することを目的とする法律です。

少子化社会対策基本法(平成15年)…少子化に対処するための政策を総合的に推進することを目的とした法律です。子育てを支援する社会環境づくりのための保育サービス充実などを定めています。


5.国際社会に関する法律

PKO協力法(平成4年)…国際連合の国連平和維持活動(Peace Keeping Operation、PKO)に協力するために作られました。国連によるPKO活動や人道的な国際救援活動に参加するために自衛隊を海外に派遣する際の根拠となる法律です。


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math 算数のコツ(17) 未知数(□やx)を求める計算問題(還元算)


中学入試の計算問題で、必ず出題されるのが式の中の未知数を求める問題(中学生以上だと文字のxで表しますが、小学生の場合、四角のカッコが多い)です。
還元算と呼ぶこともあります。

(この稿でも、実際の問題と同じように未知数を四角のカッコを使って書き表していますが、小さく表示されたり、機種依存文字で「?」に文字化けしてしまうかもしれません。)

普通の計算問題と違って、やっているうちに解けるということはありえません。
解く前にしっかりと方針を立てないと解けません。

例題1:
(4×□−12)÷3=4


入試問題としてはもっともやさしいレベルの問題を使って、解き方の基本を考えてみましょう。

還元算は、出てきた答えから逆にたどっていって、もとの数を求める問題ですから、どういう順番でその答えが出てきたのかを最初に見つけておかないといけません。

1、どういう順序で答えの4が出てきたかを考えて、それを逆にもどって解く

この問題の場合、4に□をかけて、その答えから12をひき、それを3でわって答えの4が求められたわけです。

それを逆にたどればよいので、4に3をかけて、その答えに12をたして、最後に4でわったら□を求めることができるということになります。

2、目に見える形にできないか

計算の順序を目に見える形にして、誰でも簡単に解けるようにできないかとずっと考えてきました。
ただ、そうそう画期的なアイディアは出てきません。
誰が考えても、次のような解き方になってしまうと思います。

まず、普通の計算だったらどういう順に解くか、解く順番に下線を引きます。
1−1




先に計算するはずの場所に短い下線を、次に計算するはずの場所に長い線をひきます。番号の1や2は目印につけただけで、実際に書く必要はありません。

1を計算して、次に2を計算して、それを3でわって答えの4が出てきたはずなので、これを逆にたどって四角の未知数を求めていきます。
1−2






逆算ですから、わり算をもとにもどすにはかけ算、ひき算をもとにもどすにはたし算、かけ算をもとにもどすにはわり算をすればよい。
1−3
4に3をかけて12、この12を下線の上に書いておきます。

次に12をたして24、この24を短い下線の上に書きます。

最後に、4×□が24なので、24÷4=6。

このやり方で何年か教えてみたのですが、どうも上手くいきません。
できる人はできるし、できない人はやっぱりできません。
それに、ちょっと複雑な問題になると、線がごちゃごちゃしてさらにわかりにくくなってしまいます。

1−4左図のように、先に計算するべき場所から囲んでいき、外から逆算で求めていくほうが、まだわかりやすい。

箱を外からあけていく感じで、イメージ的にも線より理解しやすくなります。
慣れるまでは、このやり方がベストかもしれません。

しかし、そろばんの上級者が慣れてきたら頭の中のそろばんで暗算ができるように、わかってきたら、何も書かないで解いたほうがいいのではないかと最近は思っています。


例題2:
(4.63−□)÷0.4+1.5×4.2=17.8


1、普通の計算だったらどういう順序で計算するかを考える


4.63−□をして、その答えを0.4でわって、それに1.5×4.2の答えをたして17.8です。

2、未知数に関係なく計算できるものは先にしておく

1.5×4.2の部分は、□の場所とは関係なく計算できるところです。当然、先に計算しておかないといけません。
・・1.5
×4.2
・・30
60
6.30

3、逆算の順番を考えて計算をする

17.8から1.5×4.2の答えの6.3をひいて、それに0.4をかけて、最後に4.63からひいたらよいとわかります。

17.8−6.3は11.5。

11.5
×0.4
4.60

最後に4.63−4.6で0.03。

4.ひき算とわり算の逆算は単純ではない。

普通、もとにもどす計算は、たし算→ひき算、ひき算→たし算、かけ算→わり算、わり算→かけ算の、いわゆる「反対の計算」をしたらよい。

ところが、いつもそうだとはいえないのが、ひき算とわり算です。

□−2=5のときは□は5+2の7です。ひき算の反対のたし算で求められます。
ところが、7−□=5であれば、□は7+5の12ではありません。7−5の2です。
つまり、未知数□の前がひくであれば、もとにもどす計算もひき算です。

同様に、□÷2=5のときは□=5×2=10ですが、10÷□=5であれば□=10÷5=2です。

未知数□の前が−のときと、未知数□の前が÷のとき、この2つの場合は、もとにもどす計算は前−後ろ、前÷後ろとなります。

以上、還元算の要点をまとめると、

(1)未知数□のない普通の計算だとどういう順番で計算するか、計算の順序を最初に確認する(慣れるまでは、計算するはずの部分を順序にそって鉛筆で囲んでいけばよい)。

(2)確認した順序の逆から
、逆算してもとにもどしていく

(3)未知数□の部分に関係なく計算できる部分は先に計算しておく。

(4)a−□=bのときは□=ab、a÷□=bのときは□=a÷bであり、「反対の計算」ではないので注意が必要。


となります。


例題3:
3−1



一見難しそうにみえますが、もう、たいしたことはありません。

1、普通の計算問題だったらどう解くはずか、計算の順序を確認する

5/8×4/25の計算をして、1/12÷□の計算の答えをたして、4/3からひいたら73/120になった、という順番です。

2、普通の計算の順番とは逆に、もとにもどしていく

4/3から( )の部分をひいたら73/120になったはずだから、まず4/3から73/120をひきます。
4/3−73/120=160/120−73/120=87/120=29/40。

次に、□の部分に関係なく計算できる部分、5/8×4/25を求めておきます。
1/10です。

次に、その1/10に1/12÷□の答えをたしたものが29/40だったので、29/40から1/10をひきます。
29/40−1/10=29/40−4/40=25/40=5/8。

最後に1/12÷□=5/8とわかったので、□=1/12÷5/8。
1/12÷5/8=1/12×8/5=2/15。


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lounge 「頭がよくないと一流のスポーツ選手には絶対になれない」 今日、出会った言葉から


超一流のスポーツ選手がすこぶる頭も良いことは、周知の事実です。

イチローや松井の言動を見ているとよくわかりますし、旬(しゅん)の人としてはサッカーの本田圭佑選手の言葉にも頭の良さを感じます。

その理由も漠然とは想像できますが、一流のスポーツマンが分析してくれたら一番説得力がある。

五輪に7度出場した、アルベールビル冬期オリンピックの銅メダリスト、現在参議院議員で日本スケート連盟会長でもある橋本聖子さんの言葉です。

同世代の親御さんと話していて、時々非常に残念なのは、『ウチの子は勉強ができないから、せめてスポーツだけでも……』と言われるんですよ。

でも本当は、頭がよくないと一流のスポーツ選手には絶対になれないんです。

頭のいい選手は、何のために練習しているのか、このトレーニングによって何が鍛えられ、競技にどう役立つのかということがはっきりとわかっている。だから脳から筋肉に的確な命令が出せるんです。

それができない選手は、ただ漫然と練習時間を過ごしてしまう。

優れた選手とそうでない選手との差は、そこでつくんですよ。


勉強にも、そのまま100パーセント、あてはまりますな。

文章的にも、満点の構成です。
まず、オヤ?と思わせた後、先に結論をスパーッと述べて、続く理由の叙述が明快、最後の結論まで間欠がない。

いや、素晴らしい「お言葉」です。


前記の部分は、本当は前置きでして、橋本さんの言いたいことの真意は、これに続く次の言葉にあります。

だから、選手自らがスポーツを通して人間力が高まっていく姿を社会に見せていかないといけない。

そうしないと『自分の子どもは勉強ができないからスポーツを』なんていう親御さんは減らないし、この国のスポーツ文化のレベルも上がっていかないと思うんですよね。

橋本さんは1964年生まれ、言葉の端々から、人の何倍もの充実した人生を送ってこられたことがびんびんと伝わってきます。


週刊文春2010年6月24日号『阿川佐和子のこの人に会いたい(第831回)』より。


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math 算数のコツ(16) くふうをしてから解く計算問題


入試の計算問題には、たいてい1問、くふうをしてから解く計算問題がふくまれています。

その「くふう」の仕方を類型化すると、(1)分数にすると簡単になるもの、(2)交換法則と結合法則を活用するもの、(3)分配法則を活用するもの、(4)知っておかないといけない問題、この4種類になります。


1、分数にすると簡単になるもの

小数ばかりの問題には、すべてを分数になおすと簡単に解けるものがあります。

例題1:
0.05÷0.008×0.4÷0.02×0.03


(問題の特徴)
0.05を0.008でわって、その答えに0.4をかけて・・・・、そんな複雑な計算問題は、入試では絶対に出ません。
何か、くふうをするべきです。

すべての小数を分数になおすと、100や1000がいくつも出てきて、約分でほとんど消えてしまうのではないかと見当をつけます。

つまり、0.01や0.001のような小数がいくつか並んでいる問題は、小数のままではなくて分数にしてから計算すると一気に簡単になります。

(解き方)
すべての小数を分数にかえてみます。
そのとき、先に約分しないで、10分のや100分のをそのまま残しておいたほうが後が楽です。

1













予想通り、約分でほとんどの数が消えてくれました。


2、交換法則と結合法則を活用するもの

数字の順番を入れかえて、ある数字どうしを先にかけておくと簡単になる問題があります。

例題2:
12.5×536×4×0.8×0.25


(問題の特徴)
何もくふうしないでただ前から計算したら、とてつもない労力がかかりそうです。そんな入試問題は出題されません。
何かくふうができないか、問題をしっかりと眺めます。

この問題では、25と4、125と8などの、かけると100(=25×4)や1000(=125×8)になる数字の組があることに気がつかないといけません。

(解き方)
12.5×536×4×0.8×0.25
=(12.5×0.8)×(4×025)×536
=10×1×536
=5360

順番を入れかえて、2つの数をかけて10や1をつくることで簡単に解くことができました。

数字の順番を入れかえても答えがかわらないことを、(順番を交換してもよいことから)交換法則といいます。
また、特定の数字同士だけを先に計算してもよいことを、(あるものだけを先に結合してもよいことから)結合法則といいます。

この問題は、4×25=100、8×125=1000になることに着目して、交換法則と結合法則を活用する問題です。


分配法則を活用するもの

同じ数字が複数回現れるときは、必ず分配法則を使います。

例題3:
3.14×6.28+3.14×3.72


(問題の特徴)
同じ数である3.14が前にも後ろにもあることに気づかないといけません。
それに気づいたら、分配法則ab+ac=a×(b+c)を活用します。

(解き方)
3.14×6.28+3.14×3.72
=(6.28+3.72)×3.14
=10×3.14
=31.4

例題4:
4.38×3.14+6.28×0.81+31.4×0.4


(問題の特徴)
同じ数がないと判断してはいけません。

314の数字の組が顔を出していることに着目して(6.28も3.14×2です)、どうにかして分配法則が使えないかを考えてみます。

さらに、かけ算の特徴として、31.4×0.4の、前の31.4を0.1倍の3.14にしても後ろの0.4を10倍したら、0.1×10で相殺されて、答えはかわりません。
このことも利用します。

(解き方)

4.38×3.14+6.28×0.81+31.4×0.4
=4.38×3.14+3.14×2×0.81+3.14×4
=4.38×3.14+3.14×1.62+3.14×4
=(4.38+1.62+4)×3.14
=10×3.14
=31.4


知っておかないといけない問題


1/2=1/1−1/2、1/6=1/2−1/3、・・・・を利用する問題は、中学入試独特の頻出問題です。
知っていないと解けないという意味では良問とはいえませんが、出る以上は知っておかないといけません。

例題5:
2



(問題の特徴)
分子が1で、分母が2つの連続する数の積のとき、それぞれの連続する数を分母とする分数の、差の形に変形することができます。
3



なぜそうなるのかは、逆の計算をどうやってするかを考えたら納得できます。
4










一般化すると、

5

















これを知っておいたらよい利点は、この形の分数がいくつか並んでいるとき、ほとんどの部分を消してしまえることです。

6








一番左端の分数と、一番右端の分数以外はすべて消えます。

(解き方)
7








結局、1−1/10だけが残るので、答えは9/10です。


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math 算数のコツ(15) 計算問題を正確に速く解く


長年受験生を指導しているとわかってきますが、入試の合格・不合格は計算問題を確実に解けるかどうかで決まります。
ほとんどの算数の入試問題は、1番が計算問題で、2番が基本問題、3番から後が大問(図形やグラフや文章題)です。
どうしても配点の大きい大問に目がいきますが、本当は1番、2番を落とさない人が最も得点率が高い。
大問は、運と、そのときの体調や心理状態に大きく左右されて、解けることもあれば解けないこともあって、まったくあてにはなりません。

今日は、中学入試によく出る問題にまとをしぼって、絶対に間違えない計算問題の解き方を追及してみましょう。

整数の計算問題

例題1:
108−8×13+(216−129)÷3


(解き方)
(1)出題のねらいを見つける


問題にはすべて「出題者の意図」といわれるものがあります。すべての問題は、算数の「ある重要事項」を受験生がわかっているどうか知るために出題されるのです。
最初にそれを見つけておきます。
この問題で聞かれているのは、「計算の順序」です。

(2)先に計算する部分に下線を引く


わかっているかどうかを試されているのは計算の順序ですから、どこから先に計算するかを見つけます。
ところで、「わかった」を、「絶対間違えない」に変えるには、可視化(目に見える形に)することが必須です。
計算問題の場合、先に計算する場所に下線を引くのがよいでしょう。

108−8×13(216−129)÷3

(3)線を引いた部分ごとに計算をする

このとき大事なのは、1、筆算よりはできるだけ暗算で、2、筆算はきれいに書いてきれいに並べておく、この2つです。

暗算でできれば暗算でするべきです。すぐに筆算をすると、いつまでたっても計算のカンが鈍いままで上達しません。

8×13程度だと、8×10+8×3=104でもよいし、筆算を頭の中でやって8×3=24、繰り上げた2と8×1=8で10、だから104でもよいと思います。

次に、私なら、216−129は筆算でします。
実は、一番計算ミスが多いのはひき算なんです。ひき算は慎重にするべきです。

筆算ですが、計算ミスの多い人は筆算の書き方の雑な人が多い。

実際の入試問題だと問題の余白を使って計算をしないといけませんが、普段の勉強では罫線のひいてあるノートを用意し、罫線にそって縦、横をきちんとそろえて筆算する癖をつけてください。

筆算を書き込む場所も、問題の出題順にきれいに整頓して書き込み、後で見直すときに、どこに何が書いてあるかが一目でわかるようにしておいてください。

後で見直すかどうかが重要ではないのです。
見直すとしたら瞬時に見つかるほど筆算が整理整頓されて残されていることが大事なのです。身のまわりの整理整頓ができない人は頭の整理整頓もできない人です。頭を整理整頓するために、筆算のメモも整理整頓しておくのです。

こうして筆算をして、216−129の答え87を見つけ、次にその答えを3でわり(この程度だと暗算で)、答えの29を求めます。

(4)部分ごとの答えを問題の下線の下に記入

108−8×13(216−129)÷3
・・・・・・・104・・・・・・・・・29

(5)問題の答えを求める

108−104+29ですから、4+29=33です。

結局、解いた後、この問題の場所には以下のような痕跡が残っているはずです。

108−8×13(216−129)÷3・・・・・・・・・・216  
・・・・・・・104・・・・・・・・・29・・・・・・・・・・・・・・−129
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・87


小数の計算問題

例題2:
(4−0.02)×0.5−(0.7×0.7+0.27)


(解き方)

(1)出題のねらいを見つける

この問題で試されているのは、計算の順序+小数計算(特に位取り)が正確にできるかどうかです。

(2)先に計算する部分に下線を引く
(4−0.02)×0.5(0.7×0.7+0.27)

(3)線を引いた部分ごとに計算をする
4−0.02は暗算で3.98、3.98×0.5=1.99は筆算のほうが確実でしょうか(暗算でするか筆算でするか、瞬間的に判断する癖をつけておきましょう)。

小数の計算ですから、小数点の位置に特に注意します。
計算をした後、必ず見直して確認をするくらい慎重に。

後半の0.7×0.7は暗算で0.49(暗算のほうが小数点の位置を間違えにくい)、0.49+0.27も暗算で0.76。

(4)部分ごとの答えを問題の下線の下に記入
(4−0.02)×0.5(0.7×0.7+0.27)・・・・・・・・・・3.98
・・・・・・1.99・・・・・・・・・・・・・0.76・・・・・・・・・・・・・・×0.5
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.990

(5)問題の答えを求める
1.99−0.76を計算して1.23です。


分数の計算問題

例題3:

1




(解き方)

(1)出題のねらいを見つける

この問題で試されているのは、計算の順序+分数計算が正確にできるかどうかです。

(2)先に計算する部分に下線を引く
あまり下線を引きすぎると汚くなってかえって混乱します。

分数計算では、ほとんど暗算は無理で、きちんと、計算する部分を書き出しては解いていかないといけません。
その式が残りますので、それを見れば確認できますから、下線を多く引く必要はありません。

2




(3)線を引いた部分ごとに計算をする
分数の計算は、別の場所にきちんと計算をしてその証拠を残しておきます。

(計算間違いの多い人に限って、例えば3/8に斜線をひいて9/24などと書き込んだりします。このような、問題を汚して自分自身を混乱させるようなこと は絶対にしてはいけません。もとの問題自体はできるだけきれいなままで残しておきます。)

3



4






5




(4)部分ごとの答えを問題の下線の下に記入

6






(5)問題の答えを求める
ここでも、分数どうしを計算したあとを、整理整頓してきれいに残しておきます。

7



8


答えは44/15です。


混合計算

例題4:
9



(解き方)

(1)出題のねらいを見つける

この問題で試されているのは、計算の順序+分数計算+小数から分数への転換ができるかどうかです。

(2)先に計算する部分に下線を引く
10



(3) 線を引いた部分ごとに計算をする
小数と分数の混合計算では、小数は分数になおして、分数で計算するのが普通です(分数を小数になおそうとすると、割りきれないことがあるから)。

ところが、このとき、例えば0.25が出てくると、25/100にして、それをゆっくりと約分しようとする人がいます。
間違いではありませんが、今まで何回か0.25を分数にする機会はあったはずで、0.25=1/4くらいは覚えておいてほしい。

0.25=1/4
0.75=3/4

さらに、まだ知らない子に本人が見つける前に教えることはよくないことではありますが、分母が8の分数になおせる小数も知っておくべきです。

0.125=1/8
0.375=3/8
0.625=5/8
0.875=7/8

このことを知っていたら、この問題は簡単です。
11












(4)部分ごとの答えを問題の下線の下に記入

12






(5) 問題の答えを求める
13










答 えは5/12です。


このようにして、整数、小数、分数、混合、すべての計算問題を、同じ方法で、速く、正確に解くことができます。


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