スポンサーサイト

  • 2022.10.14 Friday
  • -
  • -
  • -
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

一定期間更新がないため広告を表示しています


science 物質 密度


物質1立方cmあたりの質量密度といいます。

密度=質量÷体積

単位はg/立方cm(気体はg/リットル)。


密度で物質の識別ができる

物質によって密度は決まっているので、質量を測定し、体積をはかり、質量÷体積=密度を求めることで、その物質が何であるかを推測できます。

アルキメデスと王冠の話:王が細工師に金の王冠の製造を命じた。細工師が金をかすめとり、鉛を混ぜたとの密告があり、王は調査を命じた。アルキメデスは王冠の質量と体積を測定して密度を求め、細工師が盗んだことを証明した。金の密度は19.32、鉛の密度は11.35であることから、王冠の密度がわかれば、純粋な金でできた王冠かどうかがわかる。

覚えておかないといけない密度は水の密度1.00g/立方cmのみ。他の物質の密度は問題文中に書いてあります。

しかし、一般常識として、エタノール0.79、水銀13.55、氷0.92、アルミニウム2.70、鉄7.87、銅8.96くらいは知っておいたほうがいいと思います(密度の値はテキストによって少しずつ違っていることが多く、数値を丸暗記する必要はありません、だいたいこれくらいだと知っていたら充分です)。


例題1:次の金属の密度はそれぞれ何g/立方cmか。四捨五入して小数第1位まで求めなさい。また、それは、表のどの金属か。

密度表



(1)1辺が2cmの立方体で質量が63.0gの金属。

(2)質量が13.9gの金属を、水が63.4立方cm入ったメスシリンダーに完全に沈めたところ、水面の一番低いところが71.6立方cmを示した。



解き方:

(1)立方体の体積は2×2×2=8立方cm
密度=質量÷体積より、63.0÷8=7.875
四捨五入して、密度は7.9g/立方cm

表より金属は鉄。

(2)金属の体積は71.6−63.4=8.2立方cm
密度=質量÷体積より、13.9÷8.2=1.695・・
四捨五入して、密度は1.7g/立方cm

表より金属はマグネシウム。


質量・体積・密度の関係

密度が物質1立方cmの質量(密度=質量÷体積)ですから、質量=密度×体積体積=質量÷密度です。

割合や速さと同様、3種類の式があることを知っておきましょう。

また、数学的に言い直すと、質量をy、体積をx、密度をaとすると、y=axと表すことができます。つまり、質量は体積に比例し、比例定数にあたるものが密度のaだともいえます。


グラフでは、傾きが密度を表す

例題2:図は、A、B、C、D、Eの5つの物質の体積と質量を測定し、グラフに表したものである。次の各問いに答えよ。

密度のグラフ
(1)物質Aの密度を求めよ。

(2)5つの物質のうち、水はどれか。

(3)同じ物質でできているものはどれとどれか。

(4)物質Aと同じ物質でできていて、体積が27立方cmの物体の質量はいくらか。

(5)5つの物質を水に浮くものと沈むものに分類せよ。


解き方:

(1)物質Aの密度を求めよ。

密度=質量÷体積より、12÷3=4
答えは、4g/立方cm。

(2)5つの物質のうち、水はどれか。

水の密度が1g/立方cmであることは覚えておかないといけません。
密度=質量÷体積=1であるCが答え。

(3)同じ物質でできているものはどれとどれか。

密度が等しければ同じ物質だと推定できます。
このとき、一々密度を求める必要はありません。
体積をx、質量をyとしたとき、質量は体積に比例し、y=axの比例定数aが密度です。
グラフだと、比例ですから原点を通る直線になり、比例定数aにあたる密度はグラフの傾きになります。

したがって、0を通る直線をかいてみて、同じ直線上にあれば密度が等しい、つまり、同じ物質だといえます。
密度のグラフ(2)
答えは、BとDです。













(4)物質Aと同じ物質でできていて、体積が27立方cmの物体の質量はいくらか。

質量は体積に比例しますから比例式で解くべきです。

Aは、体積が3立方cmのとき、質量が12gだから、27:x=3:12
3x=324
x=108

答えは108gです。


(5)5つの物質を水に浮くものと沈むものに分類せよ。

Cは水ですから除外します。

物質の密度が水の密度より大きいとき、その物質は水に沈みます
逆に物質の密度が水の密度より小さいとき、その物質は水に浮きます

密度のグラフ(3)グラフで、水であるCを通る直線より上にあるものは、水より密度が大きい物質ですから水に沈みます。Cを通る直線より下にあるものは、水より密度が小さいので水に浮きます。

よって、水に浮くものはE、水に沈むのはAとBとDです。







最後に、方程式で解く密度の問題です。

例題3:密度が6g/立方cmの金属Aと9g/立方cmの金属Bの合金300gの体積が40立方cmのとき、合金300gにふくまれる金属Aの質量はいくらか。


解き方:

求めたい金属Aの質量をxgとすると、金属Bの質量は(300−x)g。
体積=質量/密度で、2つの金属の体積の合計が40立方cmだから方程式をたてて、
x/6+(300−x)/9=40
両辺に18をかけて
3x+2(300−x)=720
3x+600−2x=720
x=120

答えは120gです。



science 物質 有機物と無機物


有機物とは何か?
簡単そうで難しい問いです。

大概のテキストに載っている答えは「炭素をふくむ化合物」であったり、「炭素をふくみ燃えると二酸化炭素とふつう水ができる物質」であったりします。

ところが、「有機物とは炭素をふくむ化合物である」と定義されながら、「二酸化炭素のように簡単なつくりの化合物は有機物ではなくて無機物である」と書いてあります。
例外が存在する定義なんて他にはありません。

また、水素をふくんでいるからこそ水ができるはずなのに有機物であることの条件に水素をふくんでいないことや、「ふつう水ができる」などという曖昧な説明で逃げていることなど、やはり定義としてはおかしさ一杯です。


だから、中1の問題集に出てくる次のような問題で子どもたちが首をかしげるのもうなずけます。

例題:次の物質のうち、有機物をすべて選べ。
(1)砂糖、(2)塩化ナトリウム、(3)スチールウール、(4)プラスチックの容器


有機物の定義自体が矛盾をふくんでいるうえに、「炭素をふくんでいるかどうか」や、「燃えると二酸化炭素と水ができるかどうか」を、ほとんど中学理科を学んでいない中1の子が判断できるはずがありません。

私は授業では、「矛盾だらけの記述でおかしいやろ?実はね、昔は生物、つまり動物・植物の仲間を有機物、そうでないものを無機物と思っていたんだよ。ところが、そう単純ではないってことがわかってきたんだけど、有機物・無機物という用語は残ってしまったんだ。」

「だから、有機物か無機物かを判断するときは生物の仲間かどうかで判断するのが手っ取り早い。砂糖はサトウキビから作るから元植物で有機物。塩化ナトリウムやスチールウール(鉄)は生物じゃないから無機物。プラスチックは何から作る?そう、石油。石油は大昔の植物が変化したもの。だから、植物の仲間で有機物。これで簡単に解けるよ。」と教えています。

なぜ、こんな不思議な用語を後生大事に教科書に載せているのか、不思議で仕方がありません。


ところで、では無機物とは何か?

テキストによると、「有機物以外の物質」だそうです。

有機物とは何かがはっきりしないのに、無機物とは有機物ではないもののことですなんて、何かのギャグかと思わず笑ってしまいます。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ところで、この摩訶不思議な「有機物と無機物」ですが、中1の『物質』の単元以外に、中2では『消化』で、中3では『食物連鎖』で出てきます。

私は、各学年、各単元で、それぞれ有機物を別々の意味で理解したほうがよいと教えています。

中1では、有機物とは「炭素をふくむ、生物に由来する物質」のこと(生物に由来しないものが無機物)。

中2では、有機物とは「炭水化物・タンパク質・脂肪の3つの栄養分」のこと(3つの栄養分に含まれないカルシウムやカリウム、ナトリウムなどが無機物)。

中3では、有機物とは「落ち葉や動物のフン、死骸などもともと動物・植物であったもので、水にとけないから植物の根からは吸収されないもの」のこと(微生物によって根から吸収できるほど分解されてしまったものが無機物)。





tea time (3)


この曲が流れてきただけで、当時の日本人の健気さを思って目がうるうるしてきます。


math 0をふくむ、かけ算と割り算


算数を教えていて何年も前から気づいていたのですが、小学校で最近はそう教えているのでまあいいかと思って見逃してきて、やっぱりこれはあかん!と思っていることが一つあります。


かけ算

18×30を筆算でするとします。

今の子どもたちは以前と違って次のような書き方をします。
筆算1








0も他の数字と同じようにいちいち0×8=0、0×1=0とやって、記入していくわけです。

だから、180×3000なんて問題になったら、筆算の中に無駄な0がいくつも並ぶということになります。

塾での授業中、次のようにしたら?と書いて説明したら、「そんなやり方もある筆算2んや」と子どもたちは言います。





0は横においといて、あとでおいといた0の数だけつけ加えたらいいということを、学校ではちゃんと習っていないようなのです。


割り算

6年生に縮尺(移行措置で復活した単元)を教えていて気づいたのですが、割り算も同様です。

実際には3kmの距離が50000分の1の地図では何cmになりますかという問題で、3km=300000cm、300000÷50000を計算するのに、そのまま300000と50000を書いて筆算しようとします。

筆算3




逆にむずかしいやろと言いたくなる。

割り算のときは同じ数だけ0を消すことができるから、0を4つずつ消してから計筆算4算したらいいと教えると、おお!と驚嘆する声があがったりします。



どないなってんのやろ?


以前からしてきたことを、変えたらあかん

かつて、誰もが習った、0を横にはみ出させてするかけ算の仕方、0を消してからする割り算の仕方は、今の教科書にも「発展学習」のような形で載っていることは載っています。

アリバイだけはちゃんと用意されている。

しかし実際の子どもたちが使いこなせなかったら何の意味もない。

塾では、ちゃんと教えて徹底しないといけませんね。



lounge 「渇え(かつえ)」 今日、出会った言葉から


「力を蓄え、技を身につけるために最も肝要なるものとは何じゃ。そう訊ぬれば百人が百人、努力精進にほかならぬと答えるであろう。しかし、わしはそうとは思わぬ。」

「努力精進よりも肝要なものがある。それは渇えじゃ。いつかかくありたしと願いながらも、努力精進すらままならぬ貧乏人はひたすら飢え渇するほかはあるまい。その拠るところも捉むものもない飢渇こそが、やがて実力となり技となる。」

「持たざる者ほど、持っておるのだ。」

「水も肥も与えられずに、それでも咲かんと欲する花は、雨を力とし、風すらも肥とする。そうしてついに咲いた花は美しい。」

浅田次郎 『一刀斎夢録』より






science 化学変化とグラフ(2) 発展・入試レベル


グラフを読み取って計算をする問題、昨日の基礎・基本の続きです。
今日は入試レベルの発展問題を取り上げます。


例題1:グラフは、塩酸10立方cmにいろいろ質量を変えて石灰石を入れ石灰石と塩酸たときに発生する気体の質量と石灰石の質量との関係を表したものである。次の各問いに答えよ。

(1)石灰石2.0gに塩酸10立方cmを加えたとき、反応しないで残った石灰石の質量は何gか。

(2)問い(1)で反応しないで残った石灰石をすべて反応させるには、同じ濃度の塩酸を少なくともあと何立方cm加えればよいか。小数第2位を四捨五入して答えよ。

(3)グラフで、同じ濃度の塩酸20立方cmに石灰石2.5gに加えたときに発生する気体の質量は何gか。

(4)塩酸の量を5立法cmにして石灰石を入れていくと、石灰石の質量と発生する気体の質量の関係を表すグラフはどうなるか。グラフに書き入れなさい。



(解法のポイント)
単純な比例ではなくて、途中からグラフが横軸に平行になる問題です。

この種類の問題だと、なぜそうなったのか、その理由を先に理解しておかないとあとの問題を解けません。

この問題だと、途中で発生する気体の質量が増えなくなったのは、塩酸が10立方cmしかないことが原因です。
石灰石の量がある値を超えると、石灰石をいくら増やしても石灰石と反応する塩酸がもはや存在しないので気体が発生しなくなったわけです。

次に、注目しないといけないのはグラフが折れたところ、増えなくなった点の座標です。

この問題では、石灰石1.5g気体の質量が0.6gのときが目をつける場所です。このとき、石灰石と塩酸が過不足なく完全に反応しています。

それ以前は塩酸は充分なのに石灰石が足らない場合(つまり、塩酸はまだ残っている)、それ以後は塩酸が足らなくなって余った石灰石が残っている場合です。

この、「塩酸10立方cmのとき、石灰石1.5gで発生する気体の質量が0.6g」を使って、すべての問題を解いていきます。


(1)石灰石2.0gに塩酸10立方cmを加えたとき、反応しないで残った石灰石の質量は何gか。

石灰石1.5g気体の質量が0.6gのとき」、石灰石と塩酸はどちらも余すところなく完全に反応したわけだから、残った石灰石は2.0−1.5=0.5g。


(2)問い(1)で反応しないで残った石灰石をすべて反応させるには、同じ濃度の塩酸を少なくともあと何立方cm加えればよいか。小数第2位を四捨五入して答えよ。

石灰石1.5g塩酸10立方cmのとき」完全に反応することをここでは使います。

残った石灰石は0.5g、その石灰石と反応する塩酸の質量をxgとして比例式をつくります。
0.5:x=1.5:10
1.5x=5
15x=50
x=3.33・・・

よって、3.3立法cm。


(3)グラフで、同じ濃度の塩酸20立方cmに石灰石2.5gに加えたときに発生する気体の質量は何gか。

石灰石1.5g塩酸10立方cmのとき」完全に反応するわけですから、塩酸が20立方cmだと石灰石は3.0gまで反応して気体を発生させることができます。

石灰石が2.5gだと塩酸は充分足りているので石灰石は完全に反応して気体を発生します。

そして次に、「石灰石1.5g気体0.6g発生する」を利用して比例式をたてます。

発生する気体の体積をxgとすると、2.5:x=1.5:0.6
1.5x=1.5
x=1.0

答えは1.0gです。


(4)塩酸の量を5立法cmにして石灰石を入れていくと、石灰石の質量と発生する気体の質量の関係を表すグラフはどうなるか。グラフに書き入れなさい。

再び、「石灰石1.5g塩酸10立方cmのとき」完全に反応することを利用します。

5立方cmの塩酸と反応する石灰石の質量をxgとすると、x:5=1.5:10
10x=7.5
x=0.75

石灰石が0.75gまでは石灰石の質量に比例して発生する気体の質量も増加しますが、石灰石が0.75gを超えるともはや反応する塩酸が残っていないので発生する気体の量は増えません。

また、このとき発生する気体の質量をxとすると、0.75:x=1.5:0.6
1.5x=0.45
x=0.3

石灰石が0.75gのとき、発生する気体の質量は0.3gだとわかります。

以上より、次のようなグラフになります。
石灰石と塩酸(2)














では、実際の入試問題に挑戦してみましょう。

例題2:5本の試験管にn%の塩酸を10gずつとり、それぞれに0.2g、0.4g、0.6g、0.8g、1.0gのマグネシウムを加えて完全に反応させた。Mgと塩酸グラフは、そのとき発生した水素の体積をはかり、グラフにしたものである。

(1)この実験で、マグネシウムが過不足なく完全に反応したのはマグネシウムを何g加えたときか。

(2)3.0gのマグネシウムを完全に反応させるには、塩酸を何g入れる必要があるか。

(3)この塩酸の濃度を2倍にしたとき、マグネシウム0.4gから発生する水素の体積は何立方cmか。

(4)2n%の塩酸15gにマグネシウムを2.0g加えて完全に反応させると、水素は何立方cm発生するか。



(解法のポイント)
まず、途中からグラフが折れて横軸に平行になったのはなぜか、その理由をわかること。
マグネシウムが0.6gを超えると、塩酸が足らなくなったからです。

次に、n%塩酸10gとき、マグネシウム0.6gで発生する水素600立方cmであることを使って問題を解くことを徹底すること。


(1)この実験で、マグネシウムが過不足なく完全に反応したのはマグネシウムを何g加えたときか。

「マグネシウム0.6gで発生する水素600立方cmのとき過不足なく反応しているわけだから、答えは0.6g。


(2)3.0gのマグネシウムを完全に反応させるには、塩酸を何g入れる必要があるか。

塩酸10gとき、マグネシウム0.6g」を使って比例式をたてます。

塩酸の質量をxgとすると、x:3.0=10:0.6
0.6x=30
6x=300
x=50

答えは50g。


(3)この塩酸の濃度を2倍にしたとき、マグネシウム0.4gから発生する水素の体積は何立方cmか。

n%塩酸10gとき、マグネシウム0.6gまでは、マグネシウムは完全に反応しています。言い換えると、塩酸は充分足りています。
マグネシウムが0.4gだと、n%の塩酸でも足りているので、濃度を2倍にしても影響はありません。

マグネシウム0.6gで発生する水素600立方cmである」ことから、水素の体積をxにして方程式をたて、0.4:x=0.6:600
0.6x=240
6x=2400
x=400

答えは400立方cmです。


(4)2n%の塩酸15gにマグネシウムを2.0g加えて完全に反応させると、水素は何立方cm発生するか。

n%塩酸10gとき、マグネシウム0.6gで発生する水素600立方cmであること」のすべてを使って考えていきます。

塩酸の濃度が2倍になったら、半分の量でもとの濃度の塩酸と同じ働きをします。逆にいうと、2n%の塩酸15gは、n%の塩酸30gと同じ働きをするということです。
(わかっているのはn%の塩酸のときなので、このようにn%の塩酸に換算して考えるのがコツです。)

次に、2n%の塩酸15g(=n%の塩酸30g)と反応するマグネシウムの質量を、「n%塩酸10gとき、マグネシウム0.6gを使って比例式をたてて求めます。
反応するマグネシウムの質量をxgとすると、n%の塩酸30gと反応するマグネシウムの量は30:x=10:0.6
10x=18
x=1.8g

つまり、マグネシウムを2.0g加えても1.8gしか反応しない、塩酸が足りなくなって0.2gのマグネシウムは反応しないで残ったままだということがわかります。

最後に、1.8gのマグネシウムで発生する水素の体積をxとし、「マグネシウム0.6gで発生する水素600立方cm」を使い比例式をつくります。
1.8:x=0.6:600
0.6x=1080
6x=10800
x=1800

1800立方cmが答えです。




science 化学変化とグラフ(1) 基礎・基本


高校入試によく出る理科の問題の一つに、グラフを読みとってから計算をして解く問題があります。
苦手な受験生が多く、よく質問を受けます。


例題1:グラフは、銅を酸素と化合させたときの銅の質量とできた酸化銅の質量の関係を表わしたものである。これについて、次の問いに答えなさい。
銅と酸素の化合(1)
(1)2.8gの銅がすべて酸化銅になったとき、できた酸化銅の質量は何gか。

(2)銅と酸素が化合して酸化銅ができるとき、銅と酸化銅の質量の割合を最も簡単な整数の比で表せ。

(3)2.4gの銅と化合する酸素の質量を求めよ。

(4)銅の質量と化合した酸素の質量の関係を表すグラフを左のグラフに書き加えよ。




(解き方のポイント)

(1)2.8gの銅がすべて酸化銅になったとき、できた酸化銅の質量は何gか。

グラフの問題では、まず、グラフのマス目の交点を通っている、きりのよい数字を見つけます。
このグラフでは、銅が0.4gで酸化銅が0.5gのときか、銅が0.8gで酸化銅が1.0gのときです。この問題の場合、どちらでもかまわないので、数字の小さい(計算が楽なので)、銅0.4gで酸化銅0.5gを見つけておくのがよいと思います。

次に、グラフは原点を通る直線、つまり比例のグラフです。
中学生の理科では、できるだけ比例式を用いて解くべきです。

(化学変化では、銅と、反応する酸素、できる酸化銅の質量の比は、つねに一定です(定比例の法則)。その意味でも、比例式で解くべきです。)

求めたい酸化銅の質量をxとして、銅と酸化銅の比は0.4:0.5だから、
2.8:x=0.4:0.5・・・比例式をたてる
0.4x=1.4・・・比例式なので、内項(内側の項)の積=外項(外側の項)の積
4x=14・・・方程式として解く
x=3.5

答えは3.5gです。


(2)銅と酸素が化合して酸化銅ができるとき、銅と酸化銅の質量の割合を最も簡単な整数の比で表せ。

つねに同じ比になるので、0.4:0.5=4:5


(3)2.4gの銅と化合する酸素の質量を求めよ。

今度は、酸化銅ではなくて、銅と結びついた酸素の質量を求める問題です。

やはり、グラフで見つけておいた、銅0.4gのとき酸化銅0.5gを利用します。

銅+酸素→酸化銅であり、他から加わったり、他に逃げたりするものはありませんから、銅が0.4gで酸化銅が0.5gできたということは、銅と結びついた酸素の質量は0.5−0.4=0.1gだということです。

銅0.4gと反応した酸素は0.1gだから、求める酸素の質量をxとして比例式をつくって、
2.4:x=0.4:0.1
0.4x=0.24
40x=24
x=0.6

答えは0.6gです。

(小数の続くのが煩雑だと感じる人は、0.4:0.5を先に10倍して4:5にしてから式をたててもかまいません。)


(4)銅の質量と化合した酸素の質量の関係を表すグラフを左のグラフに書き加えよ。

銅と酸素の化合(3)銅0.4gと結びついた酸素の質量は0.1gでしたから、横軸の銅の目盛りが0.4のとき、縦軸の酸素の目盛り0.1gの場所に点を打ち、両者が比例するので、原点を通る直線を書き入れます。













ここまでの要点をまとめておきます。

・グラフの問題では、グラフのマス目の交点にあたるキリのよい数字を見つけておく

・直線のグラフであれば比例式をたてて解く

・グラフの横軸、縦軸が何を表しているのかを確認してから解く



では、ややむずかしくした問題で練習です。

例題2:
グラフは、銅を酸素と化合させたときと、マグネシウムを酸素と化合させたときの質量の関係を表わしたものである。これについて、次の問いに答えなさい。
銅・マグネシウムの化合
(1)2.4gの銅と、2.4gのマグネシウムをそれぞれ酸素と化合させると、何gの酸化銅、酸化マグネシウムが得られるか。

(2)1.0gの酸化銅、1.0gの酸化マグネシウムと化合している酸素はそれぞれ何gか。

(3)0.4gの酸素と化合する銅とマグネシウムの質量はそれぞれ何gか。

(4)3.0gの酸化銅、3.0gの酸化マグネシウムを得るためには、銅とマグネシウムをそれぞれ何gの酸素と化合させればよいか。


(解き方のポイント)

やはり最初に、キリのよい数字を見つけておきます。
銅は0.4gで酸化銅が0.5gできているところ、マグネシウムはマグネシウム0.6gで酸化マグネシウムが1.0gのところを使います。

(1)2.4gの銅と、2.4gのマグネシウムをそれぞれ酸素と化合させると、何gの酸化銅、酸化マグネシウムが得られるか。

酸化銅をxとすると、2.4:x=0.4:0.5
0.4x=1.2
4x=12
x=3.0・・・他の数値と同じ、小数第1位まで必要です。

できる酸化銅は3.0g。

酸化マグネシウムをxとして、2.4:x=0.6:1.0
0.6x=2.4
6x=24
x=4.0

できる酸化マグネシウムは4.0g。


(2)1.0gの酸化銅、1.0gの酸化マグネシウムと化合している酸素はそれぞれ何gか。

0.4gの銅で0.5gの酸化銅ができるとき、銅と結びついた酸素は0.1g。
0.6gのマグネシウムで1.0gの酸化マグネシウムができるとき、マグネシウムと結びついた酸素は0.4g。
この数値を使います。

酸化銅0.5gのとき化合した酸素は0.1gだから、銅と化合した酸素をxとすると、1.0:x=0.5:0.1
0.5x=0.1
5x=1
x=0.2
0.2g

酸化マグネシウム1.0gのとき化合した酸素は0.4gだから、マグネシウムと化合した酸素をxとすると、1.0:x=1.0:0.4
0.4g


(3)0.4gの酸素と化合する銅とマグネシウムの質量はそれぞれ何gか。

銅の質量をxとすると、0.4:x=0.1:0.4
0.1x=0.16
10x=16
x=1.6
銅は1.6g

マグネシウムの質量をxとすると、0.4:x=0.4:0.6
x=0.6g
マグネシウムは0.6g


(4)3.0gの酸化銅、3.0gの酸化マグネシウムを得るためには、銅とマグネシウムをそれぞれ何gの酸素と化合させればよいか。

酸素と酸化銅の比は0.1:0.5、酸素と酸化マグネシウムの比は0.4:1.0でした。

酸化銅のとき、酸素をxとすると、x:3.0=0.1:0.5
0.5x=0.3
5x=3
x=0.6
銅は0.6g

酸化マグネシウムのとき、酸素をxとすると、x:3.0=0.4:1.0
x=1.2
マグネシウムは1.2g




social studies ノーベル平和賞と世界平和


今年、入試の社会科で時事問題が出題されるとして、一番出そうなのがアメリカのオバマ大統領のノーベル平和賞受賞です。

また、小・中学生が弱いのも、平和・軍縮問題であったりします。

というわけで、関連事項をまとめておきました。


オバマ大統領誕生

440px-Official_portrait_of_Barack_Obama2009年1月、アメリカ合衆国第44代の大統領にバラク・オバマ氏が就任しました。初の黒人大統領です。

大統領選挙で訴えた、change、Yes, we can. が国民の支持を集めました。

訴えた政策の一つはグリーンニューディール、もう一つが核兵器廃絶への努力です。

ともに、これまでのアメリカ合衆国の政策を大きく転換するものです。

大統領就任後の2009年4月、ロシアメドベージェフ大統領と会談し、戦略兵器削減条約(START)について協議を始めるとの共同声明を発表、また、チェコのプラハでの演説で、包括的核実験禁止条約(CTBT)をアメリカが批准することを表明しました。




オバマ大統領、ノーベル平和賞受賞

2009年10月、ノルウェーのノーベル賞委員会は、オバマ大統領の核兵器のない世界をめざす活動に対し、ノーベル平和賞を授与することを決定しました。



歴史の流れ

すべては1945年に始まる

1945年、ドイツの降伏により第二次世界大戦終わる。
1945年、日本の降伏により太平洋戦争終わる。

協力してドイツと戦っていたアメリカ合衆国ソビエト連邦は、戦後の世界を二分する勢力、資本主義国家群(西側諸国)と社会主義国家群(東側諸国)それぞれのリーダーとして敵対することになります。


冷たい戦争(冷戦)時代

核兵器を開発した二大国がにらみ合い、その影響下にある勢力同士が地域的な紛争を頻発させる冷戦時代が始まります。

1949年 アメリカと西ヨーロッパの国々は、社会主義国に対抗するための軍事同盟、北大西洋条約機構(NATO)を結成。

1955年 ソビエト連邦と東ヨーロッパ諸国がNATOに対抗してワルシャワ条約機構を設立。

1950年 ソビエト連邦・中国に支援された北朝鮮とアメリカの支援する韓国との間で朝鮮戦争起こる。

1962年 ソビエト連邦がアメリカの隣国キューバにミサイル基地を建設。第三次世界大戦勃発の危険をはらみキューバ危機とよばれた。

1973年 社会主義国の援助を受けた北ベトナムがアメリカ軍の駐留する南ベトナムを破りベトナム戦争終結、南北ベトナム統一。

冷戦時代、アメリカ合衆国とソビエト連邦は自陣営の勢力拡大をめざして軍事力の増強、核兵器の開発に努めます。


多極化と核兵器の拡散

1960年前後、アジア・アフリカで多くの植民地が独立します。東側、西側のどちらの陣営にも属さず、第三世界非同盟諸国とよばれます。

また、地域連合として、EU(ヨーロッパ連合)ASEAN(東南アジア諸国連合)APEC(アジア太平洋経済協力会議)などが生まれます。

両陣営内でも、1969年、中国ソビエト連邦が国境紛争をおこすなど、アメリカ、ソビエト連邦二大国の支配が及ばない状況が現れます。これを多極化といいます。

アメリカとソビエト連邦だけが独占していた核兵器も、多極化の流れの中で地域の大国に拡散していきます。

現在核兵器を所有している国は、核拡散防止条約(NPT)で核兵器保有の資格を認められたアメリカ合衆国ロシア(ソ連からの継承)、イギリスフランス中国のいわゆる五大国、その他に核保有を宣言している国がインドパキスタン北朝鮮の3か国の、計8カ国です。
他に、イスラエル、イラン、シリアなどが核兵器を保有していると疑われています。


軍縮(核兵器廃絶)への歩み

核兵器の開発と核保有国の拡散は世界消滅戦争の恐怖を生み、核兵器をなくす運動が国際的に高まっていきます。

また、軍拡競争は経済を圧迫し、国内経済が破綻したソビエト連邦1991年に崩壊し、ロシア共和国やウクライナなどに分かれてしまいます。
アメリカも経済の低迷から、「世界の警察」としての役割を果たせなくなってきました。

核兵器の削減、廃絶への動きとしては以下のものがあげられます。

1963年 部分的核実験停止条約・・・地下核実験以外の核実験を禁止

1968年 核拡散防止条約・・・核保有国の拡散を防ぐ

1987年 中距離核戦力(INF)全廃条約・・・核兵器搭載の中距離ミサイルを全廃する

1996年 包括的核実験禁止条約(CTBT)・・・国際連合で採択、アメリカ合衆国などが批准していないため未発効


世界平和への協力の動き

世界平和に向けたさまざまな動きには以下のものがあります。


国際連合の活動


国連平和維持活動(PKO)・・・国際連合が平和的解決の基盤を築くことにより、紛争当事者に間接的に紛争解決を促す活動、日本もPKO協力法で積極的に参加

国連平和維持軍(PKF)・・・PKOにもとづき派遣される各国軍部隊


日本国の公的な活動

政府開発援助(ODA)・・・発展途上国への経済的な援助

青年海外協力隊・・・発展途上国への人材を派遣しての指導、援助


非政府組織(NGO)

アムネスティ・インターナショナル・・・人権擁護、難民救済などを目的とする

国境なき医師団・・・災害や紛争に際し、現地で緊急医療援助を行う



tea time (2)


出演している子どもたちが素敵です。


math 等積変形 面積と平行線


等積変形直線m上に2点P、Qがあり、mに平行な直線n上に2点A、Bがあるとき、△PABと△QABの面積はつねに等しい。

(根拠)
△PABと△QABにおいて、
2つの三角形の底辺はともにABで共通であり
2つの三角形の高さは平行線mとnの距離で等しくなる
三角形の面積は、底辺×高さ×1/2で求められるから、
底辺共通高さ等しい2つの三角形の面積は等しい。

式で表わすと、
PQ//ABならば、△PAB=△QAB
逆も成り立つので、
△PAB=△QABならば、PQ//AB

(注:図形では、△PAB=△QABの「=」は、面積が等しいことを表わします。合同を表わす「≡」と区別すること。)


重要事項:左の図で、PQ//ABのとき、△PAO=△QOBであることを証明せよ。
等積変形2
まず、底辺が共通で、高さが等しいので、
△PAB=△QAB

ところで、△PAO=△PAB−△OAB
また、△QOB=△QAB−△OAB

面積の等しい三角形どうしから、ともに△OABの面積をひいたものだから、
△PAO=△QOB


以上をまとめると、「平行なら三角形の面積は等しい」、「三角形の面積を等しくするには平行線をかけ」ということになります。

そして、頭に思いうかべたらよい図は、次の2種類です。
等積変形まとめ










誰でも知っておかないといけないのは次の問題です。

例題2:長方形ABCDの土地が折れ線PQRで2つの部分に分けられてい土地の等積変形る。それぞれの土地の面積を変えないようにして、点Pを通る1本の線分で2つに区切りたい。そのような線分PSを図に書き込め。








この種類の問題のことを、面積が等しいままに形を変えるので、「等積変形」の問題といいます。
等積変形の問題を解くときのコツは、問題を解く前に、問題の条件に合った状況がどうなった状態かを先におおざっぱにかいてみて、その図を見て考えることです。

この問題では、「面積を変えないままPを通る1本の線分で区切りなおす」わけ土地変形の2ですから、左の図のようになればよいわけです。

このとき、「面積がもとと変わらない」といえるのは、どんなときでしょうか?





土地変形の3
左図のように、△PTQと△TRSの面積が等しければ、区切りなおす前と面積は変わらないままだといえます。

では、どうやって△PTQ=△TRSを見つけたらよいのか?


ここで、等積変形の図を思いうかべます。

平行線2本にはさまれた三角形の面積はつねに等しい。

よし、平行線をひいてみよう、ということになります。

土地変形の4








では、実際に解くときの手順をまとめておきましょう。

土地変形の5
(1)点Pと点Rを結ぶ。











土地変形の6

(2)点Qを通る、PRに平行な線をかく。










土地変形の7

(3)辺BCと、点Qを通る直線の交点をSとし、点Pと点Sを結ぶ。

これで正解です。







等積変形の問題を解くときの手順をまとめておきます。
(1)面積が等しいといえる状況はどんな状態であればよいのか、略図をかいて考える。
(2)略図上の、どこに平行線をひけばよいのかを見つける。
(3)平行線をひく場所が見つかったら、正式に平行線をかきこんで問題の答えを求める。


等積変形のやや発展的な問題には次のものがあります。

例題3:図の五角形ABCDEと面積の等しい△APQをつくれ。ただし、点P、Qは直線CD上にあるものとする。
五角形
(1)面積が等しいといえる状況はどんな状態であればよいのか、略図をかいて考える。
(2)略図上の、どこに平行線をひけばよいのかを見つける。
(3)平行線をひく場所が見つかったら、正式に平行線をかきこんで問題の答えを求める。






(手順)
五角形の2
(1)面積が等しいといえる状況はどんな状態であればよいのか、略図をかいて考える。








五角形の3
(2)略図上の、どこに平行線をひけばよいのかを見つける。








五角形の4
(3)平行線をひく場所が見つかったら、正式に平行線をかきこんで問題の答えを求める。











作図の問題以外では、次の問題ができないといけません。

例題4:図の平行四辺形ABCDで、BD//EFである。このとき、△ABEと面積の等しい三角形をすべて書きなさい。

さがす
「平行なら面積は等しい」、「面積が等しいときは平行」がこの単元のポイントですから、面積が等しい三角形を見つけるときは、平行線を目印に見つけていきます。






さがす2まず、AD//BCより、底辺が共通な△ABE=△DBE

このとき、最初の△ABEと面積が同じだと見つかるのは△DBEだけですから、ここで△ABEを捨てて、次は、今見つけた△DBEと面積の等しい三角形をさがすのがコツです。



さがす3BD//EFより、底辺が共通なDBである△DBE=△DBF

ここで、△DBEから、目を△DBFに移します。
次は、△DBFと面積の等しい三角形をさがします。




さがす4AB//DCだから、底辺がDFであることをヒントにして、△DBF=△DAF


△DAFと面積が等しいものは△DBFしかないので、ここで探索は終了です。



答えは、△DBE、△DBF、△DAFの3つです。



等積変形の問題は、関数の問題としてもよく出題されます。
2乗に比例(2次関数)を習ったら、こちらこちらを参考にしてください。




calendar
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< January 2010 >>
sponsored links
働きアリ
教科別目次
算数・数学
英語
国語
理科
社会
5教科以外
後援
NPO法人
全国放課後週末支援協会


・リンクフリーです。
・学習塾や家庭で自由にご活用ください。
qlook
QLOOKアクセス解析
selected entries
categories
archives
recent comment
  • English 英作文の過去問演習 大阪府公立高校後期入試
    ゆめななん (02/11)
  • math 池のまわりで出会い追いつく問題の考え方(中学数学)
    うまぴょ (02/11)
  • math 池のまわりで出会い追いつく問題の考え方(中学数学)
    とむとむ (08/20)
  • science 位置エネルギー・運動エネルギー・力学的エネルギー保存の法則
    あきょ (10/29)
  • index 社会 分野別 目次
    applepen (01/27)
  • mathematics やや難しい因数分解
    ひで (05/25)
  • Japanese 中学生の小論文(1) 模範答案例
    ari (11/30)
  • Japanese 中学生の小論文(1) 模範答案例
    ユナ (11/30)
  • mathematics 高校入試問題研究:数学(3)(大阪府公立高校入試・前期・理数科・平成21年度)
    Ari (12/14)
  • mathematics 高校入試問題研究:数学(3)(大阪府公立高校入試・前期・理数科・平成21年度)
    躁介 (12/14)
links
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM