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essay 学校と競争原理、そして塾(大阪府教育基本条例案に関連して)


学習塾は、社会という川の流れに浮かんだ泡のようなものです。
川がどちらに向いて流れていこうが、泡は流れに浮かんだまま、社会と一緒に流れていくだけです(泡だから、たいがいは途中でパチンと割れてしまいますが)。
政治や社会の動きに口を出そうなんていう気は毛頭ありませんが、時々の感想くらいは頭にわいてきます。

今日書きたいのは、平成23年9月21日に橋下徹前大阪府知事の率いる大阪維新の会から大阪府議会に提出された大阪府教育基本条例案についてです。


大阪府教育基本条例案第44条

多くの人が教育基本条例案の内容に懸念の声を挙げていますが、直接塾に関係しそうなのは、学区制の廃止と、定員割れした府立高校の統廃合くらいです。

第44条  府立高等学校のうち、…入学定員…を入学者数が下回った場合、府教育委員会は当該学校の校長に対し、…改善に向けて指導するものとする。
2 …3年度連続で入学定員を入学者数が下回るとともに、今後も改善の見込みがないと判断する場合には、府教育委員会は当該学校を他の学校と統廃合しなければならない。
3 府教育委員会は、前項の規定を潜脱する目的で、入学定員を設定してはならない。


背後に流れる思想は、学校への『競争原理』の導入です。
公立高校は、保護者や生徒に選ばれる学校になるように努力しなさい、努力が足りずに負けた学校は退場しなさいというわけです。


誰もはっきりとは言わないが、誰もが知っていること

ところで、今年の入試でいわゆる定員割れを起こしている高校は、私の住む学区では受験生の偏差値が50に満たない学校ばかりです。
今春、学区内の高校の入学者数の一覧表を作ってみたのですが、偏差値50を超える学校は全校が定員以上の受験生を集めており、逆に偏差値50未満の学校のすべてが定員割れの状況でした。

つまり、公立高校の統廃合を一言でいうと、偏差値50未満の学校はなくなる可能性が大きいよ、ということです。

大阪維新の会が府議会では過半数を制していますから、この条例案は可決される可能性が大です。
条例案が可決、実施されることを前提に教育界は動いています(こちらを参照)。


公立高校側の見方

公立サイドは、偏差値50未満の学校がなくなっても、偏差値の高い高校の定員を増やすことで対処できると考えているようです。
実際、来春の入試の公立高校の募集定員は前年に比べて1120人の減ですが、7校だけは定員を増やしており、皆、偏差値の高い人気校ばかりです。

大阪府教育委員会は、文理学科10校の人気が高いこともあり、偏差値60をこえる高校の定員を増やすことで私学より優位に立とうとしているように見えます。

地方の県に見られるような、賢い子は公立高校に進学し、そうでない子は私立高校が引き受けてくれるというイメージを夢想しているのではないかと私は邪推しています。


私立高校側の見方

私立高校の多くは、現状にホクホク満足顔です。
授業料支援補助金制度によって経済的理由で私学を敬遠していた層が大挙して入学してくれるようになるは、公立高校が勝手に定員数を削減して私学にその分をまわしてくれるはで、苦労もなしに経営が上向きになるのですから当然です。

最初、橋下前府知事に警戒感を抱いていた私学人が雪崩をうって橋下徹シンパになっていったのもうなずけます。

しかし、現状を喜んでいる人たちが見えるのに見ようとしていないことが2つあります。

1つは、授業料支援補助金制度が永続する保証は全くないこと。
財政難の府がいつまで補助金を出してくれるのか、維新の会がずっと議会の多数派を占め続けることができるのかは、「神のみぞ知る」です。

もう1つは、学力上位層が公立高校に流れている現状から目を反らしていることです。
文理学科の設置で公立に受験生の上位層が流れ、「良い国公立大学に行きたいなら私学へ」という風潮は一気に消えてしまいました。
公立高校に行けない子の受け皿になりかかっているのに、干天の慈雨に浮かれて、そのことを忘れているようにも見えます。

入学者の学力が下がり、補助金が出なくなって高い学費を払わなければならなくなったとき、誰が私立高校へ行きたがるでしょうか。


競争原理の導入に隠されていること

競争で生まれる格差自体は良いことでも悪いことでもありません。
どんな社会でも格差は存在します。

悪いのは、競争で格差が生まれた後、勝者がさらに理由もなく優遇されて、敗者とみなされた人がいわれのない苦労をさらに加速させられることです。

文理学科に通う高校生の家庭が、他の公立や私学のどの高校の在学生の家庭よりも所得が高い層であることは、教育関係者なら誰でも知っています。

私学は学費が高いから設備が整っている、公立は建物も施設も貧弱だと誤解している人がいますが、それは金持ちだけが私学で学んでいた大昔のことで、実際は逆です。
私学で立派なのは建物の外観とエアコンくらいで、例えば実習設備や教育機器などには公立のほうがずっとお金をかけています。

特に、文理学科には潤沢な予算と選ばれた教員が投入されています(だから、塾は文理学科をすすめるのです)。

恵まれた家庭の子はさらに恵まれた環境で教育を受けることができる、学力が低いとみなされた子は安心して公立の学校で教育を受ける機会さえ奪われる結果になる、本当にそれでよいのか?というのが、流れに浮かぶ泡の私が今抱いている感想です。




***** 5教科以外の全目次はこちら、ワンクリックで探している記事を開くことができます *****

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