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mathematics 高校入試問題研究:数学(3)(大阪府公立高校入試・前期・理数科・平成21年度)
- 2009.12.02 Wednesday
- 算数・数学
- 20:45
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- by アリ
大阪府の公立高校入試は、前期(専門学科)と後期(普通科)に分かれます。前期入試は、工業科・商業科などの専門学科を対象とした入試ですが、公立高校入試で最も偏差値の高い(模試によっては偏差値72以上で合格圏)理数科も前期入試に含まれます。
府下の秀才が蝟集する理数科ですから、数学の入試問題も理数科だけは他の専門学科とは別の問題で受験します。
今日は、今春の理数科問題を取り上げて、難しい公立高校入試問題の解き方を学びます。
1番は計算などの小問なので省略します。
2番が関数、3番は平面図形、最後の4番が空間図形という構成です。
2、次の問いに答えなさい。
(1)Aは放物線m上の点であり、そのx座標は3である。B、Cはy軸上の点であり、Bのy座標は1であって、Cのy座標はBのy座標より大きい。CとBとの距離は、AとBとの距離と等しい。このとき、2点A、Cを通る直線の式を求めなさい。ただし、x軸の1目盛りの長さとy軸の1目盛りの長さとは等しいものとする。
(解いてみる)
問題文を読んだ段階でグラフに図のような書き込みをします。
直線ACの式を求めるためにはCの座標を求めなければならず、Cの座標を求めるためにはBC=ABよりABの長さを求めなければならない、という手順になります。
線分ABの長さを求めます。点AとBのx座標の違いは3、y座標の違いは9/4−1=5/4。
よって、
BC=ABより、点Cのy座標は1+13/4=17/4だから、点C(0,17/4)です。
2点A、Cを通る直線の傾きは右に3進んで下に(17/4−9/4)=2下がるので−2/3。
以上より、直線ACの式はy=−2/3x+17/4
(解いた後の感想)
「x座標がわかっているとき、y座標を求める問題」、「座標上の2点の距離を求める問題」と、「2点がわかっているとき2点を通る直線の式を求める問題」の3つを組み合わせた問題。
計算がやや複雑だが、理数科の受験生レベルなら簡単に解けたはずだと推測できます。
(2)Pはm上の点であり、そのx座標は正の整数である。Qはx軸上の点であり、そのx座標はPのx座標と等しい。PとQとを結ぶ。Pのx座標をtとし、そのときの線分PQ上にある点(P、Qをふくむ)のうち、y座標が整数である点の個数をSとする。
[1]次の文中の(ア)、(イ)に入れるのに適している数をそれぞれ書きなさい。
t=5のときSの値は(ア)であり、t=6のときのSの値は(イ)である。
[2]tの値が奇数であるとき、Sの値は奇数であることを証明しなさい。
(解いてみる)
解き始める前の書き込みは図のようになります。
[1]
整数である点は1〜6の6個と、「整数」で点Qを含むから0の計7個。
よって、(ア)は7。
整数である点は、点Pを含むから1〜9の9個と、0の計10個。
よって(イ)は10。
[2]tが奇数とあるから、t=2n+1と置いてみる。
点Pのy座標に代入して、
n(n+1)は連続した2つの整数の積です。
nが偶数のときn+1は奇数、nが奇数であればn+1は偶数であり、いずれにしてもn(n+1)は偶数と奇数の積になります。
そして偶数と奇数の積は偶数です。
1/4は分数の部分ですから、整数の個数には関係しません。
整数の個数は、[1]で解いたことがヒントになりますが、n(n+1)に0を加えたn(n+1)+1個です。
以上より、n(n+1)が偶数なので、それより1多いSは奇数だと証明できます。
(解いた後の感想)
[1]格子点の問題と言えないこともありませんが、公立でよく出題される、答えは最初に求めた数より1多かったり1少なかったりすることを見つける問題だとも言えます。
[2]「式による説明」の問題は理数科では毎年のように出題されます。n(n+1)が偶数になることの証明も、理数科の問題で見たことがあります。
いずれにしても、理数科の過去問を練習していたら、「ああ、これか」と解ける問題ですが、人によっては難しいと感じるかもしれません。
3、図1、図2において、四角形ABCDはAB=6cm、BC=2cmの長方形である。Eは、辺ABの中点である。Fは、辺DC上にあってDと異なる点であり、DF<AEである。四角形PQFR≡四角形AEFDである。
次の問いに答えなさい。答えが根号をふくむ形になる場合は、その形のままでよい。
(1)図1において、Qは直線DC上にあってFについてCと反対側にあり、Pは直線DCについてAと反対側にある。Sは、Pから直線BCにひいた垂線と直線BCとの交点である。線分EFの長さをxcmとし、そのときの線分CSの長さをycmとする。
[1]次の文中(ア)、(イ)に入れるのに適している数をそれぞれ書きなさい。
xの変域は(ア)<x<(イ)である。
[2]yをxの式で表しなさい。求め方も書くこと。必要に応じて解答欄の図を用いてもよい。
(解いてみる)
問題文を読んで、解く前に書き込みをしておいたのが下の図です。問題文に書いてあることだけでなく、書いてあることからわかることも書き込みをしておきます。
[1]
DF<AEという条件にあてはまるようにxを考えます。
xが一番小さくなるのは、点Fが点Eのほぼ右にきたときです。それより下だとDF<AEの条件に反します。
このとき、xは2に近づきます。
xが一番大きくなるのは、点Fが点Dに重なる直前です。
このときのxは線分DEの長さから求められます。
△AEDが直角三角形なので、三平方の定理よりDE=√13。
以上より、2<x<√13。
(ア)は2、(イ)が√13です。
[2]
もともとのxとyはずいぶん離れた場所にあって両者の関連性を見い出さないので、すぐに式をつくることはできません。x、yと等しい場所を他に見つける必要があります。
問題文に「四角形PQFR≡四角形AEFD」とあるので、QF=xを書き込んでおきます。
図形の問題を解くのに使える道具は『相似』と『三平方』です。
使える道具が限られているので、私なら、「相似か三平方を使うにはどうしたらよいか」の観点から考えます。
さらに、相似にしろ三平方の定理にしろ、使える図形は三角形しかありません。
この問題でも、おそらくQF=xを使うであろう、だからQFを含む三角形で考えてみよう、このような発想で解いていきます。
そう考えて、Fを通りRPに平行な線分を書き込み、長さの2を書き入れます。
そうすると、Pを通り下のCSに平行な直線をかいてもう一つ三角形を作図し、yと記入したら解けるのではないかと思いつくことができます。
2つの三角形は、∠FQPが共通で、ともに90度の角をもつので、2組の角がそれぞれ等しい相似です。
ここまできたらもう解けたも同然、相似な図形の対応する辺の比は等しいので、QF:QP=2:y
x:3=2:y
xy=6
y=6/x
(別の解き方)
府教育委員会の模範解答は違う解き方をしています。
私と同じ書き込みに加えて、さらにFとPを結ぶ線を書き込んで、△QFPの面積を2通りの方法で表して等式(方程式)を立てています。
底辺をQFと見ると、面積はx×y×1/2、底辺をQPと見ると面積は3×2×1/2、
xy=6
y=x/6
と解いています。
解答を見ると、「ああ、そうか」と思えますし、よく出る「面積を2通りに表して方程式を立てる」という解法ではありますが、私が受験生だったとして、FPを結ぶ線を思いつくかどうか、自信がありません。
(解いた後の感想)
[1]DF<AEという条件から、xの変域を導く問題です。三平方の定理を使いますが、数学というより国語やクイズに近い感じがします。
[2]私は運良く相似な三角形の組をすぐに見つけ出せたので難しい印象を持ちませんでしたが、同じ私が別の機会に解くことがあるとして、同じ解法を思いつけるかどうか、自信がありません。
やさしいのか、難しいのか、よくわからない問題です。
(2)図2は、図1中の四角形PQFRをFを中心とし回転させた状態を示している。
図2において、Qは直線EFについてCと反対側にある。EとQとを結んでできる△FQEの内角∠QEFの大きさをaとし、0<a<90とする。CとRを結んでできる△FCRの内角∠RFCの大きさをaを用いて表しなさい。求め方も書くこと。必要に応じて解答欄の図を用いてもよい。
(解いてみる)
しばらく考えてみましたが、解き方を思いつきませんでした。私が受験生なら、いったんあきらめてさっさと次の問題に向かいます(後で、あらためて戻ってくると、別の観点から問題を眺めることができてあっさり解けることがあります)。
四角形PQFR≡四角形AEFDなので、FQ=FEを使いそうだということはわかります。
△FQEが二等辺三角形なので、∠FEQも∠FQEもaです。
四角形PQFR≡四角形AEFDなので、∠DFEと∠RFQも等しい。
だから、∠QFE=∠DFE−∠QFD
∠DFR=∠RFQ−∠QFDより
∠QFE=∠DFR(図の太い赤線の角どうし)
これを使うことを思いつきませんでした。
∠QFE=180度−2aなので∠DFR=180度−2a
∠DFC=180度だから、∠RFC=180−(180−2a)
よって∠RFC=2a
(解いた後の感想)
私が受験生なら、この問題は運が悪いと時間内に解けなかったかもしれません。移動した図形の、等しくなる辺や角度を利用する問題は、どこに目をつけて解いたらよいのかを見つけにくいことが多く、気づくと簡単、気がつかないと時間切れになってしまいます。
4、左図において、立体A−BCDEは正四角錐である。底面BCDEは1辺の長さが6cmの正方形であり、AB=12cmである。Fは、底面BCDEの対角線の交点である。このとき、直線AFは底面BCDEと垂直である。Gは、Bから辺ACにひいた垂線と辺ACとの交点である。Hは、辺AD上にあってDH=2CGとなる点である。BとHを結ぶ。
次の問いに答えなさい。答えが根号をふくむ形になる場合は、その形のままでよい。
(1)正四角錐A−BCDEの体積を求めなさい。
(2)線分CGの長さを求めなさい。
(3)BH⊥ADであることを証明しなさい。
(解いてみる)
(1)
学校の定期テストの問題であれば難問ですが、入試問題としては典型的な標準問題。確実に点を稼がないといけない問題です。
BC=6、CD=6より、1:1:√2を用いてBD=6√2。だからBF=3√2。
三平方の定理を使って、
四角錐の体積=底面積×高さ×1/3より
6×6×3√14×1/3=36√14
(2)求めるCGをxとして方程式を作ることを考えます。空間図形の問題を楽にとくコツは、必要な平面だけを取り出してそこで考えることです。
三平方の定理を使う問題の中で、できたら解法を知っておいてほうがよい問題、「辺BGを2通りの方法で表して等式(方程式)をつくる」の問題です。
(3)DH=2CGよりDH=3、よってAH=9を書き込んでおきます。
「空間図形の問題を楽にとくコツは、必要な平面だけを取り出してそこで考える」、必要な平面をかいて、それを見て、どう解くかを考えます。
垂直の証明に「定番」はありません。状況に応じて、「相似」でいくか、「三平方の定理」でいくか、何かそれ以外の方法があるかを考えます。
平面ABDの図を眺めると、△ABFと△BDHの相似が言えたら∠AFB=∠BHD=90度を証明できますから、その方針でいこうと試してみます。
△ABFと△BDHにおいて
AB:BD=12:6√2=2:√2
BF:DH=3√2:3=√2:1
一見違う比のように見えますが2:√2を√2でわったら√2:1で、実は同じ比です。そこで、AB:BD=2:√2も√2:1に書き換えておきます。
また、AB=ADだから∠ABF=∠BDH
よって、2組の辺の比が等しくその間の角が等しいので
△ABF∽△BDH
相似な図形の対応する角は等しいので
角AFB=角BHD=90度
以上より、BH⊥AD
(解いた後の感想)
(1)は入試問題としては楽なほうに入ります。
(2)も頻出問題であり、CGを求めさせることでさらに解きやすくなっていますが、「あ、あの問題だ」と思いつかないと難問になってしまいます。
(3)は、単純な合同や相似の証明と違うので、受験生によってはとまどう人がいるかもしれません。
合同、相似以外の証明も練習しておく必要があります。
「証明に実は決まった書き方はない、理由を述べては書く癖をつけておけば満点の答案が書ける」と、度胸をすえて取り組んでおくことです。
- コメント
- 2003年度の大手前理数科入試を息子が受験しました。年度毎の数学問題の平均得点とか難易度などは分かるのでしょうか?
因みに2003年度の理数科数学問題で息子は69点/80点でした。70点以上はいなかったと聞きましたが、例年そんなものでしょうか? -
- 躁介
- 2012/12/14 11:50 AM
- 平均点や難易度は公開されていないはずです(昨年の、問題ごとの正答率は見た覚えがあります)。
理数科で69点は(今の文理学科の問題よりも数段難しい問題でした)おそらくトップクラスです。 -
- Ari
- 2012/12/14 12:42 PM
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