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  • 2022.10.14 Friday
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「何のために勉強するのか?」を見つけよう! (アリ塾春期講習ちらしから)

春の第一歩 ア見つめる小学生リ塾 春期講習

人はなぜ勉強しないといけないのでしょうか?
いい学校に進学するためでしょうか?
収入の高い仕事につくためでしょうか?
私はちがうと思っています。
その答えは・・・


幸せな人生を生きるために

勉強をしないといけない理由は、「よい人生」を生きるためです。

自分が持って生まれたはずの才能を十二分に開花させ、人と社会のために役に立つ人生を生き、自分に与えられた環境で自分にできる最大の努力をして、これで悔いはないと笑ってふりかえられるような生活をおくるためです。


勉強とは何か?

私たちの社会は、先人の営々と積み重ねてきた努力の上に成り立っています。
今の快適な生活はすべて、今まで精一杯生きてきた人たちの努力の賜物(たまもの)です。

勉強とは、その先人の過去の努力の過程をたどり、人間が未来に向かって何ができるのかを謙虚に学ぶための作業です。

方程式も、英文法も、理科の公式も、社会の年表も…、勉強することのすべてが「よい人生」を生きるためになくてはならないものばかりだから、私たちは学ばないといけないのです。


すべてのものが生まれかわる春

学舎の横に、一本の梅の木があります。
今まさに開花して、多くの小鳥がその恵みに誘われて集まってきています。
私も梅の木を見るたびに、新しい年度を迎え、新しい塾生に出会える感謝の心に満たされます。

アリ塾の春期講習は、皆さんが心新たに、さあ頑張るぞと闘志を燃やし、やる気を喚起するための講習会です。


塾が成績を伸ばすのではありません。

1週間ぶりに顔を見て、お、また背が伸びたなと言うことがよくあります。
しかし、子どもの背が伸びたのは自分のおかげだと誇る親はいません。
子どもたちは自分の力で伸びるのです。

学力も同じです。
子どもは自分の努力で伸びるだけです。
塾ができるのは、よい学習環境を整備し、適切な学習指導を通して、頑張れ頑張れと応援することだけです。

そんなアリ塾の春期講習会ですが、私たちと一緒に新たな春の第一歩を踏み出しませんか。


最強の勉強法とは何か?―成績が良い人に共通する学習習慣―

が変われば行動が変わる
行動が変われば習慣が変わる
習慣が変われば人格が変わる
人格が変われば運命が変わる

 

運命が変われば人生が変わる   (ウイリアム・ジェイムス)


 私は塾で三十年間、三千名を超える児童・生徒と共に学び、歩んできました。あるとき、はっと気づいたことがあります。
黒板と笑顔
 「成績が良い人は、全員、同じ勉強法をしている!」

 私が発見した、成績が良い人全員に共通する特徴とは何でしょうか?

 それは、正しい勉強法を、習慣にまで高めて日々実践していることでした。


成績が良い人の、四つの心構え
一、正しい姿勢
 成績が良い人は、学習意欲が姿勢に現われることを知っています。
 まず姿勢を正し、学習しようとする意欲を形で示してから、学習にとりかかります。

二、「なぜそうなるのか」を常に考える
 成績が良い人は、習ったことをただ暗記するだけの勉強を嫌います。
 「なぜそうなるのか」をじっくり考える習慣がついているので、学んだことを本当の学力として確実に蓄積していくことができるのです。

三、字は濃く丁寧に、またいつも漢字で書く
 成績が良い人は、例えば数学だと、符号や数字を濃くはっきりと書きます。だから、ほとんど計算ミスをしません。
 また、国語以外の科目でも、面倒くさがらずに辞書を引くなどして、学習用語をきちんと漢字で書く習慣が身についています。
 日々の小さなことの積み重ねが、実は最大の成果を生み出すことを知っているのです。

四、ケアレスミスをしないための具体的な工夫
 成績が良い人は、ミスをしないようにと意気込むだけではミスは減らないことを知っています。だから、ミスをしないための具体的な対策をします。
 文章題中の数字は四角で囲む、式は字をそろえて見直しがしやすいように書く、一問解き終えたら問題と答えの単位があっているかどうかだけでも確認する…、などの具体的な工夫をするので、不注意でミスをすることはほとんどありません。


成績が良い人は完璧をめざす
 成績が良い人は急ぎません。早く進むより、一ページを間違いゼロで、完璧にやろうとします。

 一ページ、間違いなしで完璧にやりとげようと思えば、「読み落としのないように問題をしっかりと読む」、「難しい問題をじっくり考える」、「ミスをしない」の、三条件がそろう必要があります。つまり、勉強ができるようになるために必要なすべてのものが要求されるのです。向上

 常に完璧をめざす学習習慣だけが、確実に、着実に、人を賢く成長させます。


成績が良い人の覚え方
 成績が良い人は言葉を多く知っています。語彙力が豊かなのです。大切な言葉とその意味を、確実に覚えています。

 そのための方法の一つが、マーキング(重要な語句にしるしをつけたりしてマークすること)です。

 覚えないといけないのは、そして、覚えることができるのは、短い言葉、単語です。成績が良い人は、重要な言葉に着目し、長い文章ではなくて短い言葉、単語をマーキングし、声に出して読むなどして、確実に覚えています。


成績が良い人の丸つけの仕方
 成績が良い人はまちがった時、解答を絶対「丸写し」しません。

 まず、どこがまちがったかを解答で確認した後、まちがった答えを消し、もう一度問題をよく読んでやり直します(やり直してもまちがっていたら、再度、解答や解説を読み返して、合うまで、消してはやり直しを繰り返します)。

 成績が良い人は、同じような問題が次に出たときに確実に自力でできるようになることを目標に、丸つけをしているのです。


成績が良い人は自分のことをどう評価しているか
 成績が良い人は、自分が「頭がよい」とは思っていません。

 しかし、自分に「頑張る能力」があることを知っています。だから、最後まであきらめないで、やり抜こうとします。成功するまで、継続して一つのことに集中することができます。

 今持っている能力に甘んじないで、自分がさらに成長できることを確信して、一歩一歩、前進を続けます。


成績が良い人の夢と目標
 人はなぜ勉強しないといけないのでしょうか?
いい学校に進学するためでしょうか?
高い収入の仕事につくためでしょうか?

 いいえ、違います。
 勉強をしないといけない理由は、「よい人生」「幸せな生涯」を生きるためです。

 自分が持って生まれたはずの才能を十二分に開花させ、人と社会のために役に立つ人生を生き、自分に与えられた環境で自分にできる最大の努力をして、これで悔いはないと笑ってふりかえられるような生涯をおくるためです。
地球と芽
 勉強とは、偉大な先人の過去の努力の過程をたどり、人間が未来に向かって何ができるのかを謙虚に学ぶための作業です。

 成績が良い人とは、自分がしている勉強が自分個人だけのためではなくて、まわりの人皆を幸せにするためのものであることを、知っている人です。



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essay シンクロニシティ(内田樹,森田真生,仏像,梅原猛,荒木経惟,鎌倉,金澤翔子,そして仏教)

必然的な偶然
人生では、さまざまな偶然の出来事がある一点に向かって収斂していたと、後になってわかることがよくある。

私は内田樹さんが好きで、その内田樹さんが応援しておられることから森田真生さんを知った(正確には、内田さんが森田さんについて語るtwitterと、ある雑誌掲載の森田さんのインタビューと、テレビの特集番組とをほぼ同じ日に目にして、森田さんの名前を覚えた)。

その森田真生さんが愛読書だとおっしゃっていることから、amazonでNHKブックス『仏像』を即日購入した。


仏教の生命観
森田さんでさえ、「何度も読み返している」とおっしゃっている『仏像』である。
一読しただけでは、仏像についても、仏教についてもほとんど理解できなかった。

が、梅原猛さんの、「前者(現代ヨーロッパの生命観)は闘争を生命の原形と考えるのに対して、後者(仏教の生命観)は生命の原形を和合として考える」だけは、強く印象に残った。

梅原さんは、「慈悲(仏教の認識論)を主体として、知(キリスト教の認識論)をそれに従わせる」ことこそ日本人の方向性であると示唆しておられる。


横浜美術館のアラーキー
私の息子は、大学を出た後、就職もしないで在学中にのめりこんだ演劇の道を歩み始めた。
この連休、ふと「あいつの舞台を、一度見に行くか」と思いついて、横浜での公演を観劇することにした。

開演前の時間つぶしに、会場横の横浜美術館で展示品を見学した。

開催中の現代美術の展示品には、正直、全く心を惹かれなかった。
ただ、写真家荒木経惟の『横浜美人100人』だけは本気で見入ってしまった。

「あなただったら、この100人のなかだと・・・」
と、女性好きの私を揶揄するように妻が言ってきたので、
「一人もいてへん。たった一枚で、その人の本性がすべてさらけ出されてしまっているこんな写真を見たら、どの人も怖くて好きになんかなれるものか。」

一切の人間の目のくもりを遮断する写真芸術の真髄を、初めて理解できたような気がした。

荒木経惟が、なぜ天才アラーキーと呼ばれたのか、その理由がやっとわかった。


いざ鎌倉
北条泰時の記事を書きかけて中断しているので、せっかく横浜まで出かけるのだから、翌日、鎌倉を訪ねようと計画していた。

鶴岡八幡宮建長寺東慶寺円覚寺鎌倉大仏長谷寺が、予定したコースである。

二番目に訪れた建長寺の門に、金澤翔子展開催中との掲示があった。

皮肉屋の私だが、彼女の書『共に生きる』や、東北被災地で海に向かって無心に合掌する姿を見ると、そのたびに涙してしまう。

「本人も、お母さんも、会場にいらっしゃってます。」と案内の人が教えてくださったので、「こりゃあ、ついてる、来てよかった。」とわくわくしながら門をくぐった。


幸運
書展会場の階段を昇ると、入り口に腰かけている金澤翔子さんの姿が見えた。
思っていたよりずっと小さな人だった。

思わず微笑みかけたのだが、翔子さんはぷいっと横を向いてしまった。
卑小な私の本性を瞬時に見抜いてしまったのだろう。
翔子さんにかかると、それさえも潔くて心地よい。

「買ってくださあい。」と翔子さんが連呼されていたので、『金澤翔子書品集』を購入したところ、「写真をご一緒にいかがですか?」と受付の女性の方がおっしゃってくださった。
金澤翔子さん、お母様と
そこへお母様も来られたので、一緒に撮っていただいた(写真のブログ掲載については許可をいただいています)。

我が家唯一の家宝になりそうな気がする。



帰依
書展会場に入ると、すぐ右手の『南無妙法蓮華経』が目に跳びこんできた。

そして解説で、翔子さんのお母様が仏典を心の拠り所とされていることを初めて知った。

私が横浜美術館の現代美術に全然感銘を受けなかったのは、どう素直に見ようとしても、作品の後ろに人間の小賢しい作為の匂いを感じとってしまったからだ(それが、素人の軽率な誤解であろうことは私にもわかっている)。

しかし、翔子さんの書には、うまく書こうとか、自分を良く見せようとか、何かを訴えようとか、そういった邪念は微塵もない。

無垢な、たった一色の魂の叫びが、そこにぐわんと投げ出されているだけだ。

高僧が永年の修行を経てやっとたどりつけるであろう無我の境地に、翔子さんは生まれたときから既に雄々しくすっくと立っている。

それが私を圧倒して、涙を流させる。

翔子さんの書は、人智だけで書けるような代物ではない。

翔子さんの『般若心経』の素晴らしさは知っていたが、お母様の経典への深い造詣が翔子さんの大本、根っこをつくっていることが初めてわかって、私は心から、さもありなんと納得した。


慈愛
繰り返すが、私は、仏教についての知識をほとんど持っていない。

しかし、『金澤翔子書品集』の中にぽつんと置かれた、お母様の次の言葉を読んだとき、「ああ、これこそが仏教の真髄なのではないか」と思い当たった。

「『さあ、又ダウン症の子を一人、下界に授けます。この子を育てるにふさわしい、優しく力のある、祝福される母親は誰でしょう』《天上の会議》という詩。冗談じゃない、障害児の誕生を受け入れられる母なんていやしない。」


障害児の誕生は、母にとっては胸が張り裂けるほどのであったのであろう。

翔子さんのお母様は、その苦から逃れようとあらゆる手立てを探し求め、最後には慰めの言葉にまですがろうとされたのであろう。

しかし、どんな手立ても、言葉も、人を救うことはない。

仏教は、他の宗教と違って、あらゆる救済をきっぱりと拒絶する宗教なのではなかろうか。
苦しめ!
苦しんで、苦しんで、苦しみぬけ!

そして、どれだけあがこうと、この苦からは絶対に抜け出せないとを決めたとき、魂の根底に絶望を超える重い諦念が生まれたとき、人は初めて澄み切った平安の境地に近づくことができる。

人間は、あらゆる苦から決して逃れられない存在であると自覚して初めて、真剣に、力をふりしぼって、全身全霊で生に立ち向かうことができるようになる。

救いがないからこそ、救われる。

それこそが仏の慈愛であるとお母様はおっしゃりたいのではないだろうか。
金澤翔子『慈愛』














内田樹さんから始まって次々と先達に導かれた今回の小旅行、私は金澤翔子さんにたどりつき、翔子さんのお母様を通じて仏の教えの一端をかいま見た気持ちになることができた。

幸運な縁に、ただただ感謝するのみ。





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essay 試験勉強の仕方と覚え方を考える(蛍光マーカーと記憶、文ではなくて単語で覚える)

試験勉強の仕方、大切なことの覚え方について考えてみました。

1、通読
af9960016529まず、教科書や参考書の試験範囲を通読して要点を覚えようとするとき、次の3つの方法が考えられます。

1、教科書を黙読する
2、教科書を音読する
3、教科書の要点をノートにまとめる

「よくできる人」は黙読で充分です。
ほとんどの重要語句は頭に入っているので、試験範囲を見直しして、細かいことや見落としていたことを確認しておけばそれで充分だからです。
また、黙読は一番時間がかからない勉強法でもあります。

「あまり成績が良くない人」は音読をおすすめします。
声を出して教科書を読むべきです。
「成績が良くない人」に共通する欠点は、語彙(ごい)力の不足(言葉を知らないこと)です。
重要な語句が頭に入っていないので、テストで良い点がとれないのです。
言葉を言葉として頭に残すには、音読が最も効果的で手っ取り早い方法です。

教科書をノートにまとめる試験勉強は、あまり良い勉強法ではありません。
時間がかかりすぎて、テストには間に合いません。
また、ノートにまとめたからといって、重要な言葉が頭に残っているわけではありません。
教科書をノートにまとめる勉強法は、最も効果の薄い、試験勉強としては一番やってはいけない勉強法です。


2、マーキング
試験範囲を通読するだけでは不充分です。

人間の脳は、見たものすべてを頭に残すようにはできていません。
教科書や参考書を通読したとしても、読んだもののうち、重要なもの、覚えないといけないものを区別して取り出し、それだけを覚えるようにしないと、何も覚えられません。

そのための方法がマーキング(重要な語句にしるしをつけること)です。

マーキングの方法としては、重要部分に鉛筆やボールペンで線を引く方法もありますが、多くの人がおこなっているのはマーカーペン、特に蛍光マーカーを使う方法です。
そこで、蛍光マーカーを使うマーキングについて考察します。


3、何色の蛍光マーカーを使うか
私は、黄色の蛍光マーカーを使います。

赤色や緑色を使う人もいますが、赤色や緑色は濃すぎて、引いた部分の語句がマーカーで隠れてしまって、語句を読み取りにくくしているように思います。

マーキングは、重要な語句を覚えるためにするものです。
マーキングした語句が目に鮮やかに浮き上がってこないと意味がありません。

黄色は色そのものが目立ち、その上、引いた部分の語句をはっきりと読み取ることができるという長所があるように思います。


4、何をマーキングするか(言葉か文か)
マーカーの色よりも重要なのが、何をマーキングするか、です。

例えば、テスト範囲として、次の文を通読し、マーキングして覚えるとします。

大気の上層にある、酸素がもとになってできたオゾンの濃い層をオゾン層という。オゾン層は、生物に有害な紫外線を吸収し、地表に届く紫外線を減少させている。近年、フロンと呼ばれる化学物質がオゾンを分解し、オゾン層のオゾンの濃度が低くなっていることがわかってきた。オゾン層が破壊されると、地表に達する紫外線の量が増え、皮膚ガンの増加が懸念されている。

あなたなら、蛍光マーカーでどのようにマーキングしますか?

時々、次のように蛍光ペンで塗る人がいます。
大気の上層にある、酸素がもとになってできたオゾンの濃い層をオゾン層という
この塗り方は、マーキングとは言えません。
だらだらと引いてあるだけで、重要な言葉、覚えないといけない言葉をマークしているわけではないので、何の意味もありません。

「読んだもののうち、重要なもの、覚えないといけないものを区別して取り出し、それだけを覚えるようにする」のがマーキングです。

覚えないといけないのは、そして、覚えることができるのは、短い言葉単語だけです。

文章を覚えることはすこぶる困難ですし、仮に覚えられたとしても、実際のテストでは何の役にも立ちません。

正しいマーキングは次のようになります。
大気の上層にある、酸素がもとになってできたオゾンの濃い層をオゾン層という。オゾン層は、生物に有害な紫外線を吸収し、地表に届く紫外線を減少させている。近年、フロンと呼ばれる化学物質がオゾンを分解し、オゾン層のオゾンの濃度が低くなっていることがわかってきた。オゾン層が破壊されると、地表に達する紫外線の量が増え、皮膚ガンの増加が懸念されている。

「読んだもののうち、重要な言葉、覚えないといけない言葉を区別して取り出し、言葉だけを覚えるようにする」ための方法がマーキングであり、言葉さえ覚えておけば、どんな問題が出てきても対応できるのです。


5、なぜ重要な言葉をマーキングできるのか
正しくマーキングする人は、なぜ、「オゾン層」、「紫外線」、「フロン」、「皮膚ガン」が覚えないといけない言葉、重要な言葉だとわかるのでしょうか?

それは、抽象的に述べると、文章中で特別扱いされているのがそれらの言葉であるからです。
「大気」「酸素」「生物」「有害」…などは、この文以外にもよく使われる一般的な語なので、しいて覚えないといけない語ではありません。

上の説明ではわかりにくいのでさらに具体的に述べると、「オゾン層」、「紫外線」、「フロン」、「皮膚ガン」が重要な語だとわかるのは、授業中に先生がその語を強調されていたからであり、自分が問題を解いたときにしばしばその語が問われていたから、です(だから、授業は真剣に受けないといけないし、普段から多くの問題を解いておかないといけないのです)。

上手なマーキングは、勉強の出発点であり、ゴールでもあるのです。



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essay 見事な人生


従妹(いとこ)の恵美ちゃんが亡くなったと、故郷の母から電話があった。
享年46、クモ膜下出血による突然の死だった。

私の亡父は7人兄妹で、恵美ちゃんは父の末の妹の明子叔母の長女である。

私たち従兄妹が恵美ちゃんが知的障碍児であることを知ったのはいつだっただろうか。
明子叔母は何も言わなかったが、正月に親戚が集まった席での恵美ちゃんの奇行を見たとき、私たちは子ども心に一瞬で悟ったように思う。
思わず顔を見合わせたときの私たちの表情と、その表情をうかがう叔母の悲しそうな目を、今でも思い出す。


恵美ちゃんの奇行はその時だけで、それから親戚の集まりに叔母についてくる恵美ちゃんはほとんどしゃべることもなく、いつもにこにこと笑っているだけだった。
何度か冷たい視線を浴びて、恵美ちゃんは自分が傷つかない方法を覚えたのだろう。

恵美ちゃんは特別学級に通い、そこを卒業した15歳のときから叔父さんと叔母さんの仕事である運送店を手伝うかたわら、施設の作業所に週2回ほど通ってわずかな給料をもらっていた。

明子叔母さんはある宗教の熱心な信者になった。
その宗教を毛嫌いしていた私の父だが、明子叔母さんには何も嫌味を言わなかった。
叔母はその宗教に救われたと、私は思う。


恵美ちゃんは何歳になっても小学生くらいの少女のままで、いつ会っても遠目には子どもに見えた。

フリルのついたスカートと髪につける可愛いリボンが大好きで、作業所でわずかな給料をもらうたびに、お気に入りの服とリボンと、大好きな姪、恵美ちゃんの弟の賢治君の長女のために、その喜ぶ顔が見たくてお菓子を買うのだと聞いていた。


亡くなった日も給料日で、恵美ちゃんはいつものように田舎の大型スーパーにいそいそと出かけたのだそうだ。

スーパーに寄るもう一つの楽しみであるハンバーガーを食べていて、そのまま倒れて、救急車が来たときにはもう意識がなかったらしい。

そのとき恵美ちゃんはスーパーの大きな袋2つを両手に提げていて、片方の袋には自分のために買ったお菓子やおしゃれな小物が一杯で、もう一つの袋は大好きな姪のために買ってあげたお菓子ではちきれんばかりだったそうだ。

姪はお通夜もお葬式のときも泣き通しだったらしい。


人は何のために生きるのだろうか?

私は私の人生をふり返ったとき、最近やっとわかってきたことがある。

お金がある程度儲かって喜んだときもあった。
しかし、多少裕福になると、いい人だけでなく悪い人も寄ってくる。傲慢になった私自身が呼び寄せるのだ。
正直、貧乏な今のほうが、そのときよりはだいぶ幸せなような気がする。

名誉や地位に憧れたときもあった。
しかし、ある程度人から持ち上げられても、それは人生の喜びというにはあまりにも空しいものだ。階段を一歩上がったらまた上の階段に上がって人を見下ろしたくなるだけで、きりがない。

(それに私は人生の途次で、どれだけ人に嫌な思いをさせ、どれだけ人を傷つけ、人を苦しめてきたことだろう。)

この歳になって初めてわかったのは、自分が一生懸命仕事をして、その結果として人が喜んでくれること以上に大きな喜びはないということだ。
私はそれに気づくのに何十年もかかった。


私たち従兄妹が馬鹿にしてきた恵美ちゃんだが、恵美ちゃんはその人生で誰も傷つけなかった、誰にも意地悪をしなかった。
喜んでくれる姪の笑顔が見たくて、そのために働き、給料日のたびに姪へのプレゼントでスーパーの袋を満たした。

私が何十年もかかってやっと理解できたことを、恵美ちゃんは生まれたときから知っていた。
私などが到底及ぶところではない。


恵美ちゃん、あなたの人生は本当に見事な人生でした。

あなたのような人にこそ、天国がふさわしい。
どうか安らかに、お眠りください。

Yu Darvish will be called Devilish

Darvish was dominant in a win over the Yankees on Tuesday, striking out 10 over 8.1 shutout innings. (Tue Apr 24)

If he keeps winning, I foresee he will be called Devilish with respect, considering American national character.

Please get my permission when you want to call Darvish Devilish.

essay 人間は2種類(ダーク・サイドに堕ちないために)


賢い人は最初からわかっているのでしょうが、私のような凡人は長年の経験を経てやっとわかる、人間についての「真理」があります。

私は今まで、「幸せな人」と「不幸な人」、「善人」と「悪人」、「誰からも尊敬される人」と「人から忌み嫌われる人」等々を分ける基準は何なのか、ずっとわからないままで生きてきました。

最近、私の塾舎が襲撃されました(と言ったって、生卵を投げつけられただけですが)。
監視カメラに映っていた彼らの醜悪な表情と、事件解決の途中で出会ったいろいろ人の善意にあふれた姿を見て、やっとわかったような気がします。

それは、人間には、「人の喜びを自分の喜びと感じる人」と、「人の苦しむ姿を快感と感じる人」の、2種類の人がいるのではないかということです。


人が喜ぶ姿を見たいから、人は生きている

私はなぜ塾という仕事をしているのか?
その根本的な理由もわからないまま今までずっとこの仕事をしてきました。

お金がなかったら生活できませんが別に大金を儲けたいわけではないし、地位や名誉がほしいわけでもない(大金も地位も名誉も、塾という仕事には無縁のものです)。
では、何がうれしくてこの仕事をしているのだろう?

今回の出来事をきっかけにわかったのは、私は、「私の接する人達が喜ぶ姿をみたい」から、この仕事をしているのではなかろうかということです。
勉強がわかったときの子どもたちのうれしそうな顔、志望校に合格したときの塾生のこぼれるような笑顔、それを見ることが自分の幸せだと感じるから、この仕事をしてきたのではないだろうか。

私だけではない、ものを作っている人は、そのものを使う人の、お店の人は、いい買い物をしたと喜ぶお客さんの、農家の人は、自分が育てた作物をおいしいと食べる消費者の、はじけるような笑顔が見たいから、苦労を苦労とも思わないで働いているのではなかろうか。

親もそうだ。
わが子が喜ぶ姿を見ることが自分の最大の幸せだから、子どものためには何だってできるのではないだろうか。

人は皆、誰かの喜ぶ姿を見たいから、一生懸命仕事をしているのです。
それが人としての幸せ、生きるということの値打ちなのです。

こんな簡単なことを、私は今までまったく意識しないで、漫然と生きてきたわけです。


ダーク・サイドとは何か?

映画『スターウォーズ』中の印象に残る言葉に、「ダーク・サイド(暗黒面)に堕ちる」があります。
全編をつらぬく重要なテーマですが、私はただの「悪の道」だとしか思っていませんでした。

このダーク・サイドが何なのかも、やっとわかりました。

私という人間をかえりみても、私の中に「人の喜ぶ姿を見ることが本当にうれしい」という善良さと、「人の不幸を喜ぶ」醜悪さの、両方を持っています。
私だけではない。
「人の不幸は蜜の味」ということわざがあるくらいです。
人間は誰でも、人が喜べば自分もうれしくなる気持ちと、人の不幸を愉快に思う気持ちの、両方を持っています。

しかし普通は、人の不幸を喜んでいる自分をかえりみて反省し、その醜い感情に支配されることはありません。

「ダーク・サイドに堕ちる」というのは、人を苦しめて、それに快感を感じるようになる、その快感に自分の行動を支配されるようになるということなんですね。


うちの塾を襲撃した人たち、同じ夜に他の何ヵ所かも襲っていました。
その翌日も。さらに次の日も。
おそらく、酷い汚されように驚愕する人の顔や、冷え込む夜中に冷たい水で落ちない卵を苦労して洗い流す大人の姿を思いうかべながら、嘲笑いながら・・・。


ダーク・サイドに堕ちた人のために頭を下げて謝罪する人

ダーク・サイドに堕ちた人は、いわば病人です。
病気がはびこれば、社会自体が滅びの道をたどることになります。

私は、この人たちを徹底的に処罰するべきだと、当初は考えていました。

しかし、うちを訪ねてこられて深々と頭を下げて謝罪をされた生徒指導の先生、本来何の責任もないのに「申しわけない!」と電話をかけてこられた塾長さん、「怒りを抑えて更生のチャンスを与えてほしい」と私を諭された警察官、こうした善意の人たちのことを思いうかべると、どうしたらよいのか、今は正直、迷っています。

彼らを苦しめて鬱憤を晴らすような醜い行動だけはしたくないな、とは思っていますが・・・。




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essay 「勉強」はピラミッド型の三層構造(1) 「勉強」の中身を分類することの利点


一言で「勉強」と言いますが、特に受験勉強では「勉強の内容はピラ勉強のピラミッドミッド型である」と意識したら、何を、どのように、勉強すればよいかを具体的にイメージできます。

勉強の内容は、A.定期テストレベル、B.実力テストレベル、C.入試レベルの3つに分かれます。

A.定期テストレベルは、小学生であれば学校の単元別テスト、中学生であれば学校の定期テストレベルで90点以上とるために必要な勉強のレベルです。

B.実力テストレベルは、外部の模擬テストや中学3年生の実力テストで7〜8割以上得点するために必要な勉強のレベルです。

C.入試レベルは、文字通り、実際の入試で合格ラインを
楽々超えるために必要な勉強のレベルです。


A. 定期テストレベル


小学校の算数であれば、「計算が正確にできる」、「速さや割合や面積の公式がちゃんと使える」など。
中学校数学だと、「計算や方程式は完璧にできる」、「グラフの式を求められる」など、英語だと「英単語を間違いなく書ける」、「疑問文や否定文を正しく作ることができる」などがこの領域に含まれます。

このレベルの勉強ができている人は、学校では「よくできる人」です。
小学校の低学年からきちんと勉強している人は、それだけでこのレベルはクリアできます。

しかし、受験となると、このレベルの問題が出題されることはほとんどありませんから、まだ入試での得点力はありません。


B. 実力テストレベル

小学校の算数だと、「分配法則で式を簡単にしてから計算する」、「斜線部分の面積は全体から不要な部分をひく」、「旅人算だと、最初の差を、二者の差や和でわる」などをきちんと理解できていること。
中学校数学だと、「グラフでx座標がわかっているときは、グラフの式に代入してy座標を求める」、「面積を二等分する問題は中点を求める」、「円錐の側面積は母線×半径×πで求められる」など、英語だと、「おもな連語はほとんど覚えている」、「like+to〜をbe fond of+〜ingで書き換えられる」などを理解できていることがこの段階になります。

いわゆる「受験のテクニック」と呼ばれるものの多くが、このレベルで習得しておかないといけない代表的なものになります。
学校の勉強だけではどうしても見逃しがちで、塾などで練習して覚え込むことで身につくことが多い事柄です。

ただし、この段階で満足してしまっていては、実際の入試ではまだ得点力はそう高くありません。
入試問題(特に進学校と言われる学校の入試問題)は、このレベルのことは受験生全員が熟知していることを前提に、その応用問題が出題されるからです。


C. 入試レベル

この段階で要求される主なものは、「正確な読解力」、「高度な思考力」、そして「ひらめき」です。

教えてもらって覚える入試テクニックを超えた、いわば個人の努力や知識の量に大きく依存する領域です。

そして、「正確な読解力」、「高度な思考力」、「ひらめき」の3つのうち、一番必要とされるのは、意外に思われるかもしれませんが、実は「ひらめき」です。
なぜなら、「読解力」や「思考力」は、A.定期テストレベルや、B.実力テストレベルをクリアしている人であれば既にほぼ全員が修得できているからです。

さらに、ここでいう「ひらめき」は、根拠のないあてずっぽうのヤマカンではありません。

問題を解くときに必要な「ひらめき」とは、「根拠のある推測」のことです。

「頭がすばらしくよい人」というのは、「根拠のある推測」ができて、それがいつもズバッと当たる人のことです。


「勉強」を三層構造のピラミッドと理解することの利点

通常、勉強をする人も、勉強を教える側の人も、勉強の中身を分類して意識することはほとんどありません。

そのことが、多くの「勉強」の「やりそこない」を生じさせます。

例えば、入試直前にA.定期テストレベルの勉強をいくら長時間必死にやっても、ほとんど入試の得点にはつながりません。

また、A.定期テストレベルの学力もおぼつかない人が、C.入試レベルの学習指導に特化したバリバリの進学塾に入ってしまったら、塾通いはその人を傷つけるだけです。

「勉強」の中身を分類することで、今、自分に必要な勉強は何なのかを初めて正確に把握することができるのです。




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essay 「勝つことよりも大切なことがある」 今日、出会った言葉から


新潮45平成24年1月号・「ビートたけしの達人対談」に、ラグビーの松尾雄治さんが登場しています。

松尾雄治さん:昭和29年生まれ。目黒高校・明治大学出身。明治大学で日本選手権準優勝、新日鉄釜石で日本選手権7連覇を含む8度の優勝を達成。日本ラグビー史上最大のスターであった。

私が感動したのは、松尾さんの言葉ではなくて、松尾さんが語った松尾さんの恩師、明治大学ラグビー部元監督の北島忠治さんの言葉です。

北島忠治さん:1996年に95歳で亡くなるまでの67年間、明治大学ラグビー部を指導した伝説的な名監督。人格の陶冶を掲げた愛情のこもった指導で1300人の卒業生を育てた。


松尾雄治さんが語る北島監督の言葉


北島先生の本の最後に、こう書いてある。「本当の勝者とは、四年間一試合も試合に出られずとも、四年間一日も練習を休まず、卒業したものである」と。

北島先生
(の教え)は、もう正々堂々、ずるいことはするなという教えです。


だから「早稲田に勝て」とか、「慶応に勝て」とかそういうことを一度も言われたことはないです。「普段通りに今までやってきたことを思いっ切り、全力で無我夢中で頑張れ」と、それだけでしたね。

北島先生は「試合に勝つことよりも大切なことがある」と言われていたので、「それって何だろう」と、(私、松尾は)ずーっと考えていた。


「試合に勝つことよりも大切なことがある」「それって何だろう」

一時(格差社会が言われ始めた小泉内閣の頃)、「勝ち組、負け組」なる言葉が流行ったことがあります。
私は当時、下品な言葉だなという感想を持ちましたが、では人生で「勝つ」こと以上に何が大事な価値かと問われれば、答えに窮して口ごもってしまいます。

松尾雄治氏は、北島監督の言葉をずうっと考えていて、「それはやっぱり『自分に勝つ』ということなんですよ」との結論に達したそうです。


「正々堂々、ずるいことはするな」

松尾さんはわかってらっしゃるのでしょうが、「自分に勝つ」だけでは、我ら凡人にはわかりにくい。

「勝つより大切なもの」について、もう少し考えてみましょう。

北島監督は、相手の選手が反則で退場したとき、「学生たちに正々堂々と戦わせてやりたい。同じポジションの選手をこちらも退場させて十四対十四でやらせてくれ」と審判に頼んだことがあるそうです。
「相手が一人足りないと、勝っても一生涯『あのとき十四対十五で勝った』ことになるのが不憫でならない」と。

十四対十五の勝利では、「得をした」という卑しい私心が、心のシミ、汚れとなって残るのです。
つまり、ズルをしたり、卑怯な手を使って勝つのがよくないことはもちろんのこと、あとに一点でも心の曇りがあったら、そんな勝利には何の値打ちもないということです。

だから、本当の勝利は、私心なく「全力で無我夢中で頑張」ったあとの達成感の中にしかない、「全力をふりしぼって最善を尽くす」ことだけが人にできる最上のことであるというのが、北島先生の教えの真髄であり、松尾さんの言う「自分に勝つ」とは以上の意味であろうと、私は理解しました。




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essay 学校と競争原理、そして塾(大阪府教育基本条例案に関連して)


学習塾は、社会という川の流れに浮かんだ泡のようなものです。
川がどちらに向いて流れていこうが、泡は流れに浮かんだまま、社会と一緒に流れていくだけです(泡だから、たいがいは途中でパチンと割れてしまいますが)。
政治や社会の動きに口を出そうなんていう気は毛頭ありませんが、時々の感想くらいは頭にわいてきます。

今日書きたいのは、平成23年9月21日に橋下徹前大阪府知事の率いる大阪維新の会から大阪府議会に提出された大阪府教育基本条例案についてです。


大阪府教育基本条例案第44条

多くの人が教育基本条例案の内容に懸念の声を挙げていますが、直接塾に関係しそうなのは、学区制の廃止と、定員割れした府立高校の統廃合くらいです。

第44条  府立高等学校のうち、…入学定員…を入学者数が下回った場合、府教育委員会は当該学校の校長に対し、…改善に向けて指導するものとする。
2 …3年度連続で入学定員を入学者数が下回るとともに、今後も改善の見込みがないと判断する場合には、府教育委員会は当該学校を他の学校と統廃合しなければならない。
3 府教育委員会は、前項の規定を潜脱する目的で、入学定員を設定してはならない。


背後に流れる思想は、学校への『競争原理』の導入です。
公立高校は、保護者や生徒に選ばれる学校になるように努力しなさい、努力が足りずに負けた学校は退場しなさいというわけです。


誰もはっきりとは言わないが、誰もが知っていること

ところで、今年の入試でいわゆる定員割れを起こしている高校は、私の住む学区では受験生の偏差値が50に満たない学校ばかりです。
今春、学区内の高校の入学者数の一覧表を作ってみたのですが、偏差値50を超える学校は全校が定員以上の受験生を集めており、逆に偏差値50未満の学校のすべてが定員割れの状況でした。

つまり、公立高校の統廃合を一言でいうと、偏差値50未満の学校はなくなる可能性が大きいよ、ということです。

大阪維新の会が府議会では過半数を制していますから、この条例案は可決される可能性が大です。
条例案が可決、実施されることを前提に教育界は動いています(こちらを参照)。


公立高校側の見方

公立サイドは、偏差値50未満の学校がなくなっても、偏差値の高い高校の定員を増やすことで対処できると考えているようです。
実際、来春の入試の公立高校の募集定員は前年に比べて1120人の減ですが、7校だけは定員を増やしており、皆、偏差値の高い人気校ばかりです。

大阪府教育委員会は、文理学科10校の人気が高いこともあり、偏差値60をこえる高校の定員を増やすことで私学より優位に立とうとしているように見えます。

地方の県に見られるような、賢い子は公立高校に進学し、そうでない子は私立高校が引き受けてくれるというイメージを夢想しているのではないかと私は邪推しています。


私立高校側の見方

私立高校の多くは、現状にホクホク満足顔です。
授業料支援補助金制度によって経済的理由で私学を敬遠していた層が大挙して入学してくれるようになるは、公立高校が勝手に定員数を削減して私学にその分をまわしてくれるはで、苦労もなしに経営が上向きになるのですから当然です。

最初、橋下前府知事に警戒感を抱いていた私学人が雪崩をうって橋下徹シンパになっていったのもうなずけます。

しかし、現状を喜んでいる人たちが見えるのに見ようとしていないことが2つあります。

1つは、授業料支援補助金制度が永続する保証は全くないこと。
財政難の府がいつまで補助金を出してくれるのか、維新の会がずっと議会の多数派を占め続けることができるのかは、「神のみぞ知る」です。

もう1つは、学力上位層が公立高校に流れている現状から目を反らしていることです。
文理学科の設置で公立に受験生の上位層が流れ、「良い国公立大学に行きたいなら私学へ」という風潮は一気に消えてしまいました。
公立高校に行けない子の受け皿になりかかっているのに、干天の慈雨に浮かれて、そのことを忘れているようにも見えます。

入学者の学力が下がり、補助金が出なくなって高い学費を払わなければならなくなったとき、誰が私立高校へ行きたがるでしょうか。


競争原理の導入に隠されていること

競争で生まれる格差自体は良いことでも悪いことでもありません。
どんな社会でも格差は存在します。

悪いのは、競争で格差が生まれた後、勝者がさらに理由もなく優遇されて、敗者とみなされた人がいわれのない苦労をさらに加速させられることです。

文理学科に通う高校生の家庭が、他の公立や私学のどの高校の在学生の家庭よりも所得が高い層であることは、教育関係者なら誰でも知っています。

私学は学費が高いから設備が整っている、公立は建物も施設も貧弱だと誤解している人がいますが、それは金持ちだけが私学で学んでいた大昔のことで、実際は逆です。
私学で立派なのは建物の外観とエアコンくらいで、例えば実習設備や教育機器などには公立のほうがずっとお金をかけています。

特に、文理学科には潤沢な予算と選ばれた教員が投入されています(だから、塾は文理学科をすすめるのです)。

恵まれた家庭の子はさらに恵まれた環境で教育を受けることができる、学力が低いとみなされた子は安心して公立の学校で教育を受ける機会さえ奪われる結果になる、本当にそれでよいのか?というのが、流れに浮かぶ泡の私が今抱いている感想です。




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